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Jonathan Haslam

Verso Books

グループ:Book

ランキング:47606

価格:¥ 2,253

発売日:2000-11-26

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カスタマーレビュー

歴史家とは何か  (2008-03-09)
E.H.カーは『What is history?』と『The twenty years' crisis』を読んだだけです。前者は高校生の時に読み格調高い文章に大変に感動し、後者は本棚に存在して読んだ形跡があるのだから読んだのだろうという程度。カーの名声は現在では如何ほどなのでしょう。「歴史学」自体、現在どれほど権威のある学問分野なのでしょうか。recluse評に付け加える部分はあまり思いつかないのですが、一応レビューを書いてみます。
カーについてはイギリスの典型的な進歩的文化人だという思い込みがあったのですが、なかなかどうして「進歩への信仰」という時代的刻印を除くと類別困難な知性だと分かりました。読み進むうちに明らかになるのは歴史家という職業の不思議さです。歴史記述とはそもそも何なのでしょうね?となると、歴史家とはいったい何なのか?
永遠に解決しないであろう「historiography」の困難さについては一章割かれていますが、歴史語りにおける諸分派の視点の錯綜、客観・主観の問題、歴史における「偶然」の解釈、マクロ史とミクロ史の兼ね合い、何より、歴史家に可能な倫理的判断の領域など、古くて新しい問題点が並べられています。カーは「感情」と「道徳」を意思的に放棄する歴史記述を目指した訳ですが、何やら不可能への挑戦のような気もするし、同時に、煽動主義に傾く大衆社会におけるある程度正当な抵抗のような気もするし、なかなか難しいところです。しかしパワーポリティクスに対するリアリズムの追求と歴史人物への道徳判断の放棄の末に親ソ姿勢をも含めた「現状肯定史観」あったというのは、リアリズムの有効性はさせおいて、近代知性の迷路を象徴するようで奥深い。神なき倫理の腐臭と倫理なき知性の冷気というのは近現代のジレンマですね。
下世話なところでは、私生活の話もなかなか面白いです。暴君ではないが大変なエゴイストです。内的世界で城を築く男のエゴと「普通の生活」を求める女の要求の対立という典型的な構図です。

e.h. carrとはこんなパーソナリティだったのか?  (2005-04-09)
大変な作品です。e.h. carrの著作を読んだ彼に関心がある人には必読の作品です。さらに、この伝記はいろいろな角度から読むことができます。ソヴィエト革命史やその他の著作(危機の20年、歴史とは何か、romantic exiles)や論文が書かれた背景についての解説は非常に参考になります。isaiah berlin, issac deutscherなどの有名な英国の知識人との対立や交流のプロセス。そしてこの膨大な前人未到の作品の完成の背後に秘められた私生活上のエゴイズムと結果としての困難。そして20世紀の世紀病ともいうべきソヴィエト共産主義への西欧知識人の幻想とその巧みなapologiaの構築の軌跡。この部分は戦後の日本の有名な国際政治学者の雑誌”世界”での論文をもう一度読み直しているのではとの錯覚に陥ったほどです。これらの基底音をなす、carrのvictorianとしての進歩幻想と1914年以降の”昨日の世界”の崩壊がどのように絡み合っているかはいまいちわかりにくい部分です。国際関係論やソヴィエト政治史に興味がある人には、ぜひ一読を進めます。

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