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Lippincott Williams & Wilkins,US
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発売日:1997-10-01
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通読に耐える数少ない医学書
(2008-02-06)
仕事の空き時間に少しずつ読むという怠惰な読み方をしたため、読了に一年以上かかってしまったが、平易な英語なので一日50頁ずつ読めば二週間で読了可能である。
第二版も数年前に通読したが、タイトルは同じでも内容はまったく別の本と化しているので、第二版をお持ちの方もぜひもう一度新版で通読されることを強くお勧めしたい。
内容については他のレビュアーの方が書いている通りである。一部、疑問に感ずる記述(たとえばpermissive hypercapniaのところなど)がないわけではなく、またあまりに臨床的に妥当に過ぎ、テキスト的でない箇所(「待機的挿管の適応は担当医が挿管を考慮した時である」など)もあるが、ノートを取りながら読了すれば、生理学的な知識の裏付けも相俟って、合理的・理論的な思考によるcritical careとはどういうものなのかを実感することができると思われる。
医学書にはリファレンスとして優れているもの、通読可能なものとに分かれるが、後者のカテゴリーに属する良書は極めて少ない。そういう意味でもぜひ一読をお勧めする。
I see you in the ICU
(2007-12-09)
物理学でいえばファインマン物理学に相当する名著ではないかと思う。
生き生きとした文体、現場で漫然と行われている治療効果のない行為に対する批判(実際太字で書いてある)、化学的・物理学的アプローチ。
実際ICUで研修していて、この本に書かれている無意味な習慣がいくつも目に付き、いくつかはサラッとやめさせた。
教科書と呼ばれるものは、この本のように哲学書と呼べるくらいでなければ面白くない。
改訂されている本はすごい!
(2007-05-09)
第1版の日本語訳を約10年ほど前に購入した。第2版の日本語訳が出版された際には全く見向きもしなかった。今回なんとなく第3版の原書を購入。読んでみると別の本になっている。あわてて、後輩の持っている第2版を読んでみる。3冊読み比べてみてこの本のすごさが始めて実感できた。この本は以前の版を読んだ人にも新しい発見がある。この世界、どんどん新しい情報が出てきているが、その情報を出来る限り取り入れて改訂されている。よく考えてみると当たり前。でもこの当たり前のことを再確認させてくれるだけでも、本当にこの本はすごい。この本に使用されているリファレンスを読んだことがあっても、他の情報との関連を付けているので、Mario流のEBM的な考え方を知ることもできる。とにかく、読んで損はない。
god hand Marino
(2006-09-23)
星5つでも過小評価の超名著。センスならハリソンをも上回る。医療的な話は他の方が記載しているのでそのほかの話を。EBMと最近よく言われるが、本家アメリカでも論文と臨床の乖離は目立つ。しかし、この人は論文を臨床にちゃんと生かしている(これは非常に珍しいこと)そして、細かいことを羅列するのではなく、基本をはしょり、皆の盲点、忘れている点を重点的に掘り下げているのでものすごく読みやすい。
また、この本ほど患者の役に立ちたいという著者の想いが凝縮されている本は無く、臨床を自身の腕やキャリアの自慢にもっていく臨床家が多い中、貴重な存在だと感心、というより著者を尊敬してやまない。
私の好きな本です
(2005-06-02)
きちんとした理論から説こうとしているので、人を納得させます。これだけの内容を1人で書いたのですから、その医者としての実力は驚異的なものがあります。役に立つ記述をいくらかあげます。
1 胃腸の粘膜は2〜3日ごとに入れ替わる。ストレスがあると粘膜の栄養血管の血流が不十分になり、粘膜が十分につくられなくなる。それでびらんとなる。胃酸はびらんを悪化させるが、胃酸が最初からびらんをつくったのではない。最初の原因は粘膜の栄養血管の血流が不十分であることである。
2 胃酸のPHが3の時、大腸菌は1時間で完全に死滅する。胃酸のPHが5になると、大腸菌は反対に増殖する。
3 重篤な患者の胃酸を抑制するのは根拠に乏しく、また危険である。
4 肺塞栓は最初に起こる疾患でない。静脈の血栓があることから二次的に起こるものである。
5 オピオイドは肝臓で代謝され、代謝物は尿から排泄される。腎不全(クリアチニンクリアランスが10mL/min以下)では活性のある代謝物がたまるので、投与量は半量にすべきである。
6 セレネース(haloperidol)は鎮静効果があり、心肺への悪影響が少ない。特にせん妄に有用である。静注後20分以内に鎮静効果が現れる。セレネース静注による錐体外路症状はまれである。
7 アルブミン製剤は投与量の50〜75%が血管内にとどまる。それで出血量の1.5〜2倍の量を投与すれば出血量を補うことになる。電解質輸液で補うなら、出血量の4倍の量が必要である。
8 ラシックス(furosemide)の静注は心拍出量を低下させる。ラシックスは尿量を増やすことで大静脈から心臓にもどる血流を低下させるからである。もう一つの理由はラシックスがレニンの産生を促し、レニンがアンギオテンシンを増加させて血管抵抗を増大させるからである。急性心不全の時に反射的にラシックスを投与するのでなく、このことをよく検討する必要がある。
9 昏睡状態になってから数日を経て対光反射が消失しているなら、昏睡からの回復は非常に難しい。
10 冠状動脈の閉塞が24時間以上継続するとQ波の現れる心筋梗塞となる。1〜2時間の閉塞なら、Q波の現れない心筋梗塞となる。
11 心筋梗塞の発作は以前に使用されていないなら、まずニトログリセリン(nitroglycerin)を1錠投与し、3分後にもう1錠投与する。ただしこれで胸痛がなくなることは少ない。胸痛がおさまらないなら、モルヒネ4mgをゆっくりと静注する。必要なら5分間隔で繰り返す。モルヒネで血圧が下がることがあるが、これは交感神経の刺激の減少によるものである。もし血圧が100以下に下がるなら、輸液をする。これでたいてい回復するが、もし血圧低下が続くならアトロピンを0.5〜1mg静注する。昇圧剤は投与しないことに気をつける。
12 胸部痛が30分以上続き、12時間以内であること、12誘導の心電図で連続する2誘導以上で0.1mm以上のST上昇があることあるいは新しい左脚ブロックが出現していること、心不全、あるいは心原性ショックを呈していないことを満たせば、心筋梗塞の血栓溶解療法の適応となる。

