アイテム詳細
青土社
グループ:Book
ランキング:457711
価格:¥ 4,410
ポイント:44 pt
発売日:2004-11
通常24時間以内に発送
このページのURLは
http://www.shikencho.com/shop/asin/Books/4791761537/
この商品を買った人はこんな商品も買っています。
ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか (光文社新書)
カスタマーレビュー ![]()
昨今払底の誠実な研究書
(2008-11-15)
本書の諸論文は、四半世紀以上前に、「現代思想」に掲載された諸論文で、自分も高校、大学時代に連載で読んだ記憶がある。特に「ヘーゲルの市民社会論」に就いては、たいへん感銘を受けた。苦労して読んだ「法の哲学」から、当時おぼろげながら感じたその重厚性と問題把握の先取性について、誰一人語っておらず、ほぼ黙殺に近かったが、著者の山之内氏だけが、はっきりと、論点を整理して、その現代性を語っていたことに感銘を受けた。マルクスにしても、「疎外論」というレッテルよりも、マルクスの生涯かけての問題意識を問うその真正面からの取り組みに教えられることが多かった。しかし、当時から20年以上、マルクス物は、全部、廣松かアルチュセールの物象化論か、ポスト・モダン流の改悪解釈が横行し、本書の諸論文は、相手にされる風潮はなかった。90年代後半からヘーゲルの再評価やポスト・モダン思想の失墜という背景が出来てきて、やっと読まれる風土ができたということか。明治生まれの哲学者には、山之内氏のような切実な研究者が多かったような気がするが、どうも世界的にも「荒んだ感性」の研究者が多く、なお貴重な気がする。著者は「現代社会の歴史的位相」や「ウェーバー論」など良い文章の良書が多いと思う。
信頼できる著者のまなざし
(2005-11-02)
著者はマックス・ヴェーバーの新たな読み直しを行い、ヴェーバーと
ニーチェの関連を鮮明にした(同著者による「マックス・ヴェーバー
入門」、「ニーチェとヴェーバー」参照)。そこでは、現代社会は
人間が選択の余地なく放り込まれる「鉄の檻」ではないかという問題
意識が基本になっている。初期マルクスへの論考もこの延長線上に
ある。ヴェーバーへの取り組み同様、本書でも新しいマルクス観を
構築しようと努めている。「労働者の解放」ではなく「労働の廃
絶」(「労働からの解放」)こそが本来マルクスが目指していたこと
ではなかったか?
過去の研究以来揺るいでいない視点を持つ著者による本書は、現代
を捉える思索者の必読書と思う。
受苦者の不明
(2005-10-20)
<「人間の精神が人間の肉体や経験的世界から自立化し疎遠なものとり、人間に対して超越的な支配力を及ぼす」こんな言葉に少しでも感じるところがあれば、ぜひ、一読を薦めたい。>全くその通りだ。『魂の労働』や『管理される心』といった労働現象論、あるいは『自己決定は幻想である』など生命倫理の領野からの提言を哲学的に支えるのが初期マルクスの論考であり、「受苦の人間学」たる本書の立場である。
大いに読まれるべき1冊である。
しかし、本書の「文学的」カタルシスとヒューマニズムの調べにはやはり疑いを抱いてしまう。フォイエルバッハを受けての「受苦的人間論を放棄してしまった後期マルクスには可能性がない」とする著者の断言は正しいのだろうか?それは、認識論的切断後の『資本論』に可能性がないという圧倒的な少数意見を述べているわけだが・・・・。
小生は次のように言いたくなる。
文学的・ロマン派的世界像(=哲学)を放棄せざる「初期マルクス」(山之内靖氏的)への先祖がえりとは、マルクス主義以前のマルクス、つまりヘーゲル左派的マルクス、マルクスならざるマルクスへの後退ではないのか?と。
しかし、本書の受苦的人間論の魅力あふれるメタファーに私小説的愛着を持ってしまうことを禁じえず、なおかつ遺憾ながら(?)、エンゲルスの「哲学の消滅」ではないが、「フォイエルバッハテーゼ」の最後の一句が頻りに想起されてくる。
そう、本書は心地よい。世界文学の「香り」がする。でもドストエフスキーの度し難さではない。トマス・ハーディー?ユーゴー?
世界大のグローバル資本主義は、これでは捉えきれないのでは?
ところがこちとら、認識論的切断も、物象化論も、トランスクリティークもアソシエーションも、はたまた超資本主義論もどれが信じるに足るか、否どれが正しいか適切なのか不明なのが悩ましい。
「経済学哲草稿」の論争に新たな解釈で決着を付けた名著
(2005-01-29)
「経済学哲学草稿」は70年代後半の盛岡の古本屋でも定番のように一冊50円で積まれていた。高校の授業をサボって読んだが、ほとんど理解できなかった。
40才過ぎて大学に入り直そうとした私に「君は体が弱いから妻子を路頭に迷わせるような退職をしてはいけない」と戒めた人がいた。嘱託で美しい文章を書き、社内の雑文原稿を一手に引き受けている翁。彼のポケットにいつも入っていたのが、擦り切れた「経哲草稿」だった。
この著作は「経哲草稿」の論争に決着を付け、本来のマルクスの意図を明らかにしてくれた名著だ。
「私的所有」「疎外論」「労働の商品化」「市場万能論への懐疑」
「人間の精神が人間の肉体や経験的世界から自立化し疎遠なものとり、人間に対して超越的な支配力を及ぼす」こんな言葉に少しでも感じるところがあれば、ぜひ、一読を薦めたい。
著者は語る。人間は有限の存在であり、人生の意味が受苦にあることを自ら引き受けなければならない。21世紀には、17世紀に続いて、第二次の科学革命が起こるであろうと。

