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古今書院
グループ:Book
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価格:¥ 2,940
ポイント:29 pt
発売日:2003-11
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カスタマーレビュー ![]()
琉球民俗の大いなる可能性
(2004-04-21)
明治まで続いた琉球王国とそれ以前の古琉球のイメージを作ったのは日本民俗学黎明期の巨人、折口信夫や柳田國男である。琉球王国の残した女性が神役をつとめる神女祭祀、青い海、白衣の神女、神女にひざまずく男、これを見た途端、彼らは「日本の古代が沖縄にある」と勘違いし、琉球民俗文化に日本の幻の古代を見つけることに熱中する。琉球王国はその成立前夜から交易による富を享受した。やがて島津に侵略され中国には属国として扱われ、二重の支配下に置かれ複雑なスタンダードを使い分けてきたしたたかな琉球王国のどこに古代があるというのか?
著者は琉球列島の民俗に日本の古代を見るという定説を解体する。日本古代の常世と同じ海の彼方への信仰とされるニライは実は地底への信仰が原初的な形である・男性の異形の来訪神は祖先神ではなく、全地球的高温期の縄文時代中期、メラネシアから北上した熱帯系の仮面仮装神が現行民俗に残存している・聖域を意味する御嶽は始祖祭祀、天上から神が降臨、本土の嶽信仰との関連、などから成っている。この過激さ。
そして著者は、琉球列島の民俗に大きな影響を及ぼしている故地とし朝鮮半島の存在を強く示唆する。琉球の神女祭祀、オナリ(姉妹)神信仰も政治的な産物であり、新羅の王家の祭祀をモデルとした信仰であることを語る。かくして琉球民俗=日本古代へのロマン的な思い入れは、著者によって痛快なまでに跡形もなく砕かれるのである。
著者はオモロという古歌謡を資(史)料とし、民俗を語る。読みが確立していないオモロは、著者によって別の息吹を与えられ、光彩を増す。琉球民俗をあるがままに見つめると、沖縄学は新たな輝きを帯びる。かつて誰も想像しなかった琉球王国生成の謎が、筆者の大胆で緻密な分析によりやがて明らかになるだろう。琉球王国の神女達の美貌よりなお魅力的な琉球民俗の世界へ、確かな橋渡しをするのが本書である。
過激かつ正当
(2003-11-26)
沈滞ムードの沖縄研究に、やっとまともな本が刊行された。その内容は、1.ニライ・カナイ信仰は、海のはるか彼方の聖なる国ではなく、本来は地下世界であった、2.来訪神儀礼に出現するカミは祖霊でも祖先でもなく原初の人間であり、この儀礼のモデルに琉球王朝の「にらい大主(うふぬし)」が形成された、3.御嶽の神とは「兄妹始祖神話」を祀るものが本来の姿である、4.オナリ神信仰もまた「兄妹始祖神話」がもとになっている。これは、これまで誰も言わなかったことだが、読み進めていくうちに、1-4までが互いに関連しあい、琉球民俗の根源にあるものを深く納得することができる。それにしても、こうしたことをこれまで誰も指摘してこなかった「沖縄研究」というのは一体、何だったのだろうか。いまひとつ根拠が弱いと感じるところがなきにしもあらずだが、今後の展開を大いに期待し、沖縄研究が、いっそう論戦の場となることを期待するのは評者ばかりではないだろう。

