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江時 久

NTT出版

グループ:Book

ランキング:38607

価格:¥ 1,995

発売日:1999-02

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ベートーヴェンの精神分析―愛と音楽と幼児体験の心理

ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

カスタマーレビュー

ネットで本を購入するデメリットを痛感・・・  (2008-07-20)
結論を言えば、こちらが内容を客観的な研究書と、
勝手に『誤解』して購入してしまったのが失敗でした。
一応タイトルと紹介文は購入時の参考にしたつもりですが・・・(苦笑)

この著者はあくまでもアマチュアの音楽愛好者としての立場で、
難聴者としての自分の体験と視点から、
ベートーヴェンの生涯を主観的に語っているわけで、
それ以上でもそれ以下でもありません。
「わたしの思考の筋道には、難聴者だから難聴にこだわってしまう、
おかしな点があるかもしれない」(本文より)とありますが、
残念ながら、読んでいてその点が非常に気になってしまいました。
参考資料にも「偏り」がありますし、
重要な事実誤認もかなり見受けられましたし・・・
(特に第3章など)
ベートーヴェンの難聴の正確な病名や詳細な状態については、
いまだに諸説多々というのが現状で、
最新の研究でも決定的な結論は出ていません。
にもかかわらず、著者が「これ!」とある特定の病名を挙げて、
それをすべての前提に話を進めていくのにも、
強い違和感を覚えました。

この本、事前に内容を立ち読みできたら、絶対に購入しませんでした。

もうひとつの真実  (2006-12-08)
まるで違う人物の歴史を見ているような気分になります。
難聴者である著者がベートーヴェンの聴力にこだわって
生い立ちを推理してます。

誇り高く、他人を寄せ付けない短気な天才。
晩年は難聴と戦いながら信念を貫き通すというような
正義感溢れた頑固一徹のような人間像が一般的でしょうか。
難聴について掘り下げる事で単なる噂のような
歴史がどんどんはっきりと真実味を増していきます。

本書を読み終わった後、
私のベートーヴェン像はまるっきり変わってしまいました。
他人を寄せ付けないのではなく
障害を隠すために社交性を殺すやるせなさ、
劣等感、奇人のふり、難聴が影響した人格の変化について
詳しく細かく説明してあります。
素朴で、いつも不安を抱えていたと思われる
少年時代についての章はとても貴重です。

難聴者である著者があとがきに
「ぼくが書いておかなければ、ハイリゲンシュタットの意味は
 わからないままになってしまうかもしれないと感じた」
と書いてありますが、確かに。

ベートーヴェンの人生を知る上で欠かせない本だと思います。
序盤の文章に少し違和感を感じるので星は4つですが
やっとつじつまがあった!というような
満足感が得られました。

偉人の逸話とは  (2005-05-15)
衝撃の内容。同時にいかに私たちが聴覚障害者を理解していないかを立証するものです。
著者の江時氏は自身が聴覚障害をもっていて、その知識が深い。
「ろう」と「難聴」の区別すらできていない私たちに忍耐強く、
聴覚障害というものが実に多様であることを順を追って説明していきます。

ベートヴェンは『あぶみ骨』固着による伝音難聴。

耳慣れない単語ですが、これが「人の言葉は聞こえないが、ピアノの音は聞こえる」状態を
証明します。
そして外見上わかりにくい聴覚障害というものが、どれだけ周囲に誤解を与え、理解してもらえないがゆえに、
人との交わりを避けるようになり、相手の言葉が聞き取れない自分に苛立つかをあかしてきます。

性格は激しやすく、対人関係が下手だった。
若い時からピアノの名手で、人の集まりより練習を好んだ。

現代より聴覚障害に無理解だったウィーンで、障害を隠して人々の中に自分の居場所を求めていったベートヴェンの努力が、
結果として「耳が聞こえないのに作曲ができた孤独な天才」と歴史に置き換えられていく。

「まったく聞こえない耳で音楽を作れると思う人々の気持ちの中には、ベートーヴェンを畏敬しながら、
聞こえないという事実に対する認識と思いやりが欠落している」

同じ苦しみを知っている著者の言葉。
音楽以上に人を愛していたベートーヴェンが注意深く描かれ、作者の愛情が感じられる作品です。

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