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丸山 直樹

白水社

グループ:Book

ランキング:222648

価格:¥ 1,890

ポイント:18 pt

発売日:2007-01

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カスタマーレビュー

違和感  (2008-02-24)
この本を読んだ後の違和感てなんだろうかと考えた。それは動物に対する愛情の無さではないか。コンラート・ロレンツは動物行動学者にいちばん必要なのは 動物に対する深い愛情だとのべている。この本からは生き物に対する愛情や畏敬の念を感じる事はなかった。どの章もそれぞれ軽妙な語り口だが全て人間本位で書かれているように思える。ニホンオオカミはハイイロオオカミの亜種だとして 大陸からの移入は問題ないと言う。でも亜種であろうと 同じ種類であろうと 違う環境に育ったものは外来種ではないのか。たとえば シャチは環境によって食べている物が違うため性格も違う。パタゴニアのグループはオタリアを狩るので 人間は近づく事も危険だが ノルウェー沖のグループはシシャモとかを食べているため 人間が一緒に泳いでもエサとは認識されないから襲われる事はない。またこの本では オオカミに人がどう関わるのかと言う考察が甘いように思う。知床ではヒグマの事故が今までなかった ところが世界遺産に指定され観光客が押し寄せ ゴミを残す事などで人との関わりが変わってきたと聞く。全ての人が動物に対する知識を備えているわけではない。野生動物に善意でエサを与える人もいる。現代の日本人が移入されたオオカミにどういう接し方をするかなど予測できるのだろうか。なぜ大学の教壇にまで立つ学者が揃いも揃って こんな無謀な説を展開するのか 私には信じられない。ニホンジカが増えているのも サルが人に被害を及ぼすのも 様々な要因がある事を知っているくせに。

頂点を欠いたピラミッド  (2007-05-15)
日本でオオカミが絶滅してから1世紀のときが流れた。その間に人間が自然に対して行ってきた蛮行とも言える破壊行為によって生態系は激変してしまった。捕食者を持たない被食者(シカ、サル、イノシシなど)が激増し、植林地や田畑を荒らし、人里に下りてきて人に危害を加える事故も多発している。これらの動物が増え続けることは、動物だけでなく植物、また土壌まで一変させてしまう大変な事態である。そこでオオカミを放し、被食者の数を抑制し、それを狩猟で補おうというのがこの計画の狙いである。

野生のオオカミを見たことのある日本人はもはやいないだろう。そのイメージが童話の域を出ていない人も多いだろう。オオカミが放たれるまえに、私たちはその生態や役割をもっと勉強する必要がある。いたずらに怖がらず、共存できたら素晴らしいことだと思う。狩猟人口が減っていることも危惧されるが、こちらのほうも啓蒙が必要だろう。なにしろ日本人は狩猟には慣れていない。アメリカやヨーロッパのようにはいかないような気がする。

一番気に掛かるのが日本人に多い保護、愛護の勘違いである。保護イコール食べ物を与えて自分勝手に可愛がる、そんな人が後をたたない。人里に下りてきた野生の子イノシシに餌を投げ与えたりしている人の映像を誰しも見たことがあるはずだ。オオカミが放たれたあと、そんなことをする人が出てきたとしたら・・姿形が犬に似て、しかも馴化しやすいオオカミである。事故が起きないとも限らない。我々ひとりひとりが野生の動植物に対する認識を新たにし、理解を深めたときにこそ共存の道が開けるのだと思う。大変読みやすく、生態系のことを理解するのに本書はお勧めの一冊。

確かにリスクはありますが  (2007-05-02)
大陸からオオカミの群れを連れてきて日本の山に放つ・・・

人間が自然を制御できるのか、人間や家畜を襲う危険は無いのか?
確かにリスクはあると思います。

でも、日本の森林はかなり危険な状況にある。自分は日光も大台ケ原の山も、何度も歩きましたが、これは断言できます。森林の劣化は、手入れの遅れた人工林のことも含めて、森林全体に云えることですが、シカの食害の深刻さ天然林、人工林を問わず筆舌に尽くしがたいものがあります。

正直言いまして、10年くらい前にこの話題を初めて聞いた時は、突拍子もないことと聞き流してしまいました。でも、今は可能性を排除すべきではないと思います。この主張も含めて、森林生態系の保護について、議論ではなく「アクション」をしなければと思います。

鹿サンが増えすぎた。外国の狼クンに退治して貰おう!  (2007-04-26)
野生の鹿、猪、猿が増えているそうです。鹿が村道にまで降りてきた。猪が村の公民館の庭で人を襲った。猿が農家の部屋の中まで入ってきた、など。野生動物が、山から里へと棲息範囲を拡げ、人間に悪さをした記事を良く見るようになりました。しかし里での被害以前に、山の中でも彼等による被害は深刻のようです。貴重な高山植物や植林した苗木あるいは成木の皮を、増えた過ぎた鹿が食べ尽くし、植物群落が壊滅に瀕しているそうです。

頭数の増え過ぎが被害増大の原因です。では頭数を適正値に保つにはどうすべきか?本書の寄稿者全員の一致した考えでは、外国産狼を日本の山に放つのが有効な策だそうです。放たれた狼が鹿、猪、猿を食べ、頭数を減らす。同時に人間も狩猟を行って、野生生物の頭数をコントロールする。この目論見が上手くいけば、生態系の最上部に位置する狼の復活で、鹿の頭数制限だけでなく、本来の自然生態系全体の復活も期待できるとのことです。

狼を自然に戻した米国やEUの先行例もあります。しかし常識と見なされている狼への先入観から、その導入に反対する意見も同時に根強くあります。本書では、先入観打破の為に、狼とは実際にどのような動物かを、生きた狼に実際に当たった人たちが丁寧に記述しています。理論的な論文では、論理は歯切れがよく、学的水準を保ちながらも判りやすく書かれています。しかしフィールドを担当した論文では、結論は非常に慎重です。それが本書の信頼度を上げているように思いました。

狼を実際に山野に放すには、共存する地元民の協力・賛同なくしては出来ません。また食害への対応など公の保証が不可欠です。草の根からの啓蒙と公的な保証制度創設は時間がかかります。このプロジェクトの今後の進展にはまだ時間が必要だなと強く感じました。

うーん・・・  (2007-03-03)
まずはじめに疑問を感じたのは自然は人間の力でコントロールできるものなのか?ということだ。
自然を破壊し荒廃させたのは確かに人間の所行だが、破壊されはしたが曲がりなりにも成り立っている生態系へまた再びひとつの大きな象徴的な部分だけ蘇らすこということに、その生態系へまた人間が介在することの悪影響というのはないのだろうか?ということだ。その筋の専門家が集まって考えたことだから、素人のわたしが口を挟む余地はないのだが・・・。
コンセプトはいい。
絶滅危惧種への警鐘にもなるだろう。
人間は長らく自然をコントロールするというでもなく、自然と共生することで生きてきた。そこに垣間見えるものは人間にとって都合の良い環境を作り出すこと=自然保護という概念なのか?
自然とは全て人間にとって都合が良い事ばかりではないような気がするが・・・。

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