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日本経済新聞出版社
グループ:Book
ランキング:3608
価格:¥ 945
発売日:2007-02
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カスタマーレビュー ![]()
シュンペンターの口癖は「わがパパ、マルクス」だったそうだ
(2007-06-10)
歴史学徒にとって血沸き肉踊る珍しい経済書「経済論戦は甦る」が指摘する重大な事実は、シュンペンターの創造的破壊論は間違いであるということである。
為政者がデフレ不況を放置し、不良債権を抱え業績悪化に苦しむ非効率な企業を市場から清算(破壊)すると、世間は失業者と貧乏人で溢れ、国民の購買力は極度に低下する。そこで才能ある者が画期的なモノやサービスを販売する新規事業を起こしても、国民は買いたくても買うためのお金を持ち合わせていないので、新規事業が成功する可能性は極めて薄い。銀行や資本家は成功する可能性の極めて薄い新規事業には基本的に融資しないので、かくして清算主義の下では才能ある者は新規事業を起こし難く、創造的破壊は起きないのである。
せいぜい起きるのは共産革命ぐらいであろう。共産主義は資本主義の廃墟の中から生まれてくるのだから。だから世界デフレ大不況では日独のマルキストは古典派に組し、積極財政に反対したのである。今日の新古典派(新自由主義者)に対して我々は十分警戒しなければならない。
不況容認論ではないが、完全回避論でもない
(2007-03-10)
技術革新による創造的破壊を促す契機として不況を位置付け、その必要性すら説く著名な経済学者シュムペーターに対し、その注釈にすぎないような議論で一般には無名のアービング・フィッシャーなる経済学者を対峙させている。
フィッシャーの説いた賃金の物価スライド制=購買力基準の賃金水準を一定に保つことの重要性や、不況は時間軸の取り方では適者生存とはいかず景気回復も起業数の増加ではなく解雇数の減少によって実現する、というカバレロとハマーの議論が紹介されている。日本におけるバブルとその崩壊が、製造業の自立に伴う(旧大蔵省&)金融機関の失策とその後の日銀(&旧大蔵省)の失策によるものという分析は的確でも、ならばそれらを避けられたかどうかは今もって疑わしい。
不況自体を容認するものではない、「克服」しようとする議論だが、不況を完全に「回避」してみせる新しい経済学ではない。議論はいまだシュムペーターの土俵にあるのではないだろうか?
ここ数年で一番面白い本(星6つあげたい)
(2007-03-08)
これは本当に面白い!私は単行本では読んでいないが、よくぞ文庫版で出してくれたと感謝したいです。本書を読んで一番感じること、それは経済は理論だけではだめだし、実証だけでもだめで、理論と実証があわさって始めてより真実に近づくということだ。本書では一貫してシュンペーターの「創造的破壊」論とフィッシャーの「デット・デフレーション」理論の対立が描かれ、小泉政権下の日本の状況を取り巻く経済論戦は基本的にこの2つの対立軸に帰依するとして解説されている。本書の素晴らしいところは理論の解説だけでなく、多くの経済学者(バーナンキなど)による実証分析の結果も踏まえてどうやらフィッシャーに軍配が上がっているということを明示しているところである。確かに創造的破壊論者の野口悠紀雄などはもっともらしい理論は言うがデータや実証分析の裏づけがない。いわんや本書でも解説されている情報の非対称性から生まれる逆選択やシグナリング、また最新の論文などについてもフォローしているか怪しいものだ。またジャーナリストやエセエコノミストたちが変な比喩表現を並べて「エセ経済理論」を振り回しているのにも警鐘を鳴らしている。本書を読んで本当に経済学は面白いと実感した。経済に関心のある人は必読本ですね。
あの名作の感動が甦る!
(2007-02-16)
4年と少し前,まっとうな経済学の知識と読み易さを兼ね備えた読み物に飢えた人々からは随喜の涙をもって迎えられた名作が,お求め易くなって帰ってきました.
再読の結果,「レモン市場」など基礎的知識から説き起こしている点にあらためて「まっとうさ」を実感.「読み易さ」については,二人の学者のエピソードがふんだんに盛り込まれていたり,タイタニックや「罪と罰」などから周知の場面を抜き出しそこから自説展開するところなどでご実感いただけるでしょう.特に後者の引用は,「デフレ処理」や「不良債権対策」を論理的に考えるにあたって絶好のモデルを提供しているといえ,単なる修辞だけで片付けられないと思います.
未読の方は単行本の方もご参考いただき,是非ご購読の踏ん切りを付けて下さい.

