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武者 陵司

東洋経済新報社

グループ:Book

ランキング:137054

価格:¥ 1,995

ポイント:19 pt

発売日:2007-04

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カスタマーレビュー

今となっては、、、  (2008-04-10)
米国の住宅バブル崩壊・リセッションを懸念したクルーグマンの指摘を、「杞憂」であり、「10年の現実に耐えうるロジックではなかった」と散々にこきおろしているが、まさにその直後に、住宅バブルが崩壊し、サブプライムローンの破綻をきっかけに米国金融・経済が大きなダメージを受け、著者が批判したクルーグマンの予想通りの展開となりつつある現実を目の当たりにすると、本書の内容はもはや滑稽としかいいようがない。ただ、皮肉にも、クルーグマンを批判して言った「誰も正しく将来を予測できない」という言葉の正しさを、著者自身が予測を外したことによって身をもって証明しているといえよう。

大恐慌や大不況は当分無い!  (2007-11-09)
米国の赤字と世界景気をあつかった類書と逆のことが論じられている。あの大英帝国は貿易赤字だったが海外投資と貿易外サービスでバランスをとっていたそうだ。本書は米国は、安い費用で国外から資本を取り込んで、高いリターンの海外投資をしており、さらに、貿易赤字は米国の大企業の利益が統計に表れてないことよる、表面的な数字の赤字であって、実際は膨大な黒字なのだ、と論じている。だとすれば、世に言われている米国発の大恐慌や大不況は当分無い、ということになる。

“帝国”は砂上の楼閣か…  (2007-09-08)

 最近、本書の著者である武者陵司氏や『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』の水野和夫氏など、相次いで“証券マン”の手になる本が出版されている。この両氏に共通する展開として、先ず“既成の経済学”では今日のグローバル化した経済や資本主義を説明し得ないこと、そのため、「帝国」化、「金融」化、「二極」化などの新たな概念装置や分析用具を私たちに顕示し、「地球帝国」(本書)又は「新しい中世」(水野氏)の描出を試みようとしている。ところで、そもそも資本主義って何だろうか…。

 私は、基本的に「それは、資本の無限の増殖をその目的とし、利潤の絶えざる獲得を追求していく経済機構の別名」であり、「利潤とは、二つの価値体系の間にある差異を資本が媒介することによって生み出され」、それ故、「常に新たな差異、新たな利潤の源泉としての差異を探し求めていかなければならない」(岩井克人氏)ものと考えている。日米の意図的な“金利差”や当書で示す中印諸国等のチープレーバー・ギフトに基づく多国籍企業の巨額な超過利潤なども、こうしたコンテキストで理解できるのではないだろうか。

 水野氏は1995年を、武者氏は2002年を境目として、アメリカの「帝国」化、アメリカ覇権下での「地球帝国」化が始まったとする。その覇権国・アメリカなのだが、確かに95年の「ルービン・ドクトリン〔マネー集中一括管理システム(水野氏)〕」によって「新・帝国循環」(吉川元忠氏)を確立した。しかし、経緯は省略するけれども、その結果、今般「金融恐慌」の引き金になりかねないサブプライムローン問題も引き起こしており、私には、証券マンである両氏の著作を読むと、「帝国」の名の下に過度の「楽観」が伏在しているような気がしてならない。

ワン・ワールド経済体制を解き明かした快著  (2007-06-16)
 「新帝国主義」という言葉は、必然的にソ連の革命家レーニンの書やイギリスの評論家であるホブソンの名前を思い起こさせる。

 武者氏の思考によれば、現在の帝国主義体制を成り立たせている搾取の主体は、国家独占資本主義ではなく、多国籍企業による「差額地代(アウトソーシングによる利潤)」の利益計上である。

 現在の相互依存体制が進んだ国際経済は、古典派の経済学者、デヴィッド・リカードの理論に従えば、これは世界を単一の市場とする「世界単一経済体制」であるということになる。そのように、評者は感じている。武者氏は、この「地球帝国」といわれる、世界単一市場における経済体制における立役者は、国際金融資本であると論じている。

 以前から、グローバル経済を解き明かす理論として、トマス・フリードマンの「ゴールデン・アーチ理論」、トマス・バーネットの「コアとギャップ理論」、はたまた、陰謀理論家のジョン・コールマンによる「ワン・ワールド理論」などがあった。(コールマンの理論は、義ジョージタウン大学教授のキャロル・キグリーの説に依拠している部分もある)コールマンの理論は、世界政府を措定しているが、武者氏の理論は、インターディペンデンシー理論を応用した国際関係論のリベラリズムの系譜に属するものである。しかし、言おうとしていることは似ているというのが評者の感想だ。

 本書は、国際金融資本が世界経済の支配者であるという事実を理論的に解き明かした快著である。私は、金融ネットワークの研究を行っているが、セオリーの面でグローバル化が進行した現在でのネットワークの分析を行う際の理論的裏づけになる。

 しかも、本書は、国際的にも類書がないレベルの高い著書である。アメリカの学会では型にはまった議論をしなければならないので、武者氏の国際経済の真相を解説するやり方は歓迎されないのだろう。是非英語に翻訳されるべき1冊である。本書と合わせて、田中明彦氏の『新しい中世』、トマス・バーネットの『ペンタゴンズ・ニュー・マップ』(ともに日本経済新聞社)を読むといいだろう。

武者陵司が書いた世界経済の見通し  (2007-05-14)
一部の株式投資愛好家に熱狂的なファンを持つ武者陵司が
現在と近未来の世界経済について見通しを語った本である。

評者なりに内容を乱暴に要約してしまうと、アメリカを
中心とした先進国の多国籍企業群が発展途上国の安価な
労働者から一種の「搾取」を行うシステムが確立された
ので(これを武者は「帝国循環」と名付ける)、多国籍
企業をはじめとした株式やドル建ての資産について
当面強気の見通しを維持できる、ということになろうか。
潜在的なリスクシナリオもいろいろと提示されている。

世界経済の現状分析としてはそれなりの説得力を持って
いると思うが、失礼ながら文章にあまりキレがなく、
通して読むと少々胃もたれした。武者の相場見通しが
当たるかどうかを注視しつつ資産運用を楽しむ評者の
ような個人投資家なら一度は読んでみてもいいと思うが、
より広範な読者に役に立つ本として紹介することは躊躇
せざるを得ない。評点は星三つに近い星四つにします。

余談だが、確か2004年だったと思うが、武者は正月の大発会で
一年間の株価の予想レンジを外してしまうという快挙?も達成
したことがある。今回の本の予想は果たして当たるであろうか。

武者ほどの見識を以てしても相場の見通しはなかなか
当たらないのだ。予想とはかくも難しいものである。

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