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東洋経済新報社
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発売日:2006-04
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文章を書く苦しみと喜びが伝わってくる一書
(2007-12-25)
200冊以上の著書を書いた谷沢氏が自身の執筆ノウハウを明かす、という売り文句の書名です。
ただし、冒頭で早くも白旗を掲げ、膨大なノウハウを筋道たてて表現することは困難だ、と宣言しています。代わりに著者が考えたのが、具体的な話題に即して――つまり、実際に自分が書いた著書の例を挙げて――解説する方法です。どのような事情で書きはじめ、どのような工夫をこらし、時にはいったん放り出したりしながらどのように完成させて世に送り出したかを書く。読者自身がそこから執筆のノウハウを察してほしい、という趣向です。
できあがった書物は、結果として、谷沢永一の著述家としての側面だけを抽出した一代記に仕上がりました。もちろん、家族のことも、大学教授としての思い出も全く登場しません。それだけに谷沢氏を知るための格好の入門書として読むことができます。
恥ずかしながら、私はこの「稀代の著述家」の本をまだ読んだことがありませんでしたが、本書のおかげで谷沢氏を身近に感じることができました。
とはいえ、本人も白旗をあげているのに、谷沢氏の長年の努力の過程を他の人間が要約することは不可能です。
私からは、「決して最初から売れっ子でも人気作家でもなかったのだなあ」という当たり前の感慨をお伝えしておきます。
自慢の少ない本ですが、唯一の人生の師とも仰ぐ司馬遼太郎からの一文は秀逸です。
平成2年に書かれた「私筆のみを」という文章で、司馬氏は、
「私は私事や私情を文章にしないように心掛けてきたが、谷沢永一氏と
いう人についてふれねばならぬ場合にかぎって、このように手前味噌
を書く」
と異例の前置きをしたあと、最大限の讃辞を書きました。
谷沢氏は、次のように短く締めくくりました。
私は、この世に生きた甲斐があった。
文章を書く苦しみと喜びが伝わってくる一書でした。
思い出話に花が咲く
(2006-06-18)
執筆論、書く技術というよりも、目次を見たらわかるとおり、主に国文学界で活躍してきたことの回想記といった感じの本です。
論文書いたけど黙殺されたとか、研究者としてはまだ駆け出しの頃に有名な評論家に見出され論文の依頼を受けたとか、大御所の誰かと論争したとか、おおよそその半分あるいはそれ以上かな、すでに刊行された谷沢氏の他の著書に出ている話が多くて新鮮味がないです。
谷沢氏の著書を読んだことがない人なら、学者の世界の一端を知るのに役に立つかと思います。文章も読みやすい。

