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東京創元社
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カスタマーレビュー ![]()
筋立てのアイディアが斬新
(2008-09-14)
1948年作品。バット・マガーの第3作。とても50年以上昔の作品とは思えないくらいに斬新で生き生きとしている。
パット・マガーはネブラスカ生まれで、コロンビア・ジャーナリズム学校を卒業後、アメリカ道路施設協会の広告部にいて、『建設技術』という雑誌の編集次長も勤めていた経歴を持っている。筋立てのアイディアが斬新で、犯人ではなく探偵が誰なのか、犯人自身が一人称で書いていくという極めてめずらしいストーリーだ。オリジナルのタイトル『Catch Me If You Can』が実に適切にストーリーを表している。
その上表現が実に映像的だ。特に最後のシーンなどまるで優れた映画を見ているような感じすらする。オススメの一品だ。
着想が見事
(2007-12-30)
殺人犯が主人公で、殺すべき探偵を探して次々と殺人を犯す物語。因果応報の言葉通り、殺人を嗅ぎ付けられて追いつめられていく殺人犯の心理を描写しようとする実験作である。
だれが探偵なのか最後までわからないので、推理物ファンにはお勧めしたい一冊である。
星が3つなのは、推理もの(特にサスペンス)特有の現象なのだが、殺人という罪があまりにも軽く扱われているからである。
金の為に結婚し彼女を離縁してすませようとする夫を殺すのは、結婚か娼婦になるしかない当時の低所得者層の女性が身を守る為にはいたしたない。しかし貧乏人は貧乏故に平気で殺人を犯すと考えるのはあまりにも単純で、(当時の作家や読者特有の)恵まれた階級出身者の人間特有の傲慢な「善意」にすぎない。
あまりにもこのような考え方が自然に描かれる為に、読者は階級差別的な考え方を無批判に受け入れてしまいかねない。それに、もし格差が殺人を引き起すのだと言うのなら、それをどう是正するかも示唆せねばならない。それが優れた小説というものである。
しかし、本作にそのような真面目な議論などないのである。むしろ、恵まれた出自の完璧なヒーローが、悪を倒して恵まれた出自に加え知恵と忍耐を持ち合わせたお姫様と幸せになるおとぎ話を再現すらしている。
中途半端な問題提起で富裕層の「慈悲」をアピールしているにすぎないのである。
従って、どのように素晴らしい着想と物語の展開であっても、今作を絶賛することはできない。
異色の推理作家パット・マガー
(2007-04-01)
パット・マガーの作品は、通常の「犯人さがし」じゃなく
「目撃者」や「探偵」や「被害者」を探すというちょっと変わった
作品ばかりです。
この作品「探偵を捜せ!」では文字通り探偵が誰なのかを探るもの。
若く美しい妻マーゴットが、年の離れた病弱な夫を殺し財産を
せしめようとするが、夫はとうに感づいていた。夫は知り合いの
私立探偵にこっそり手紙を書き、妻に殺されようとしていること
を訴え自分の住んでいる山荘に呼んでいた。
そのことをマーゴットに告げると、マーゴットは逆上し夫を殺してしまう。
口封じのため、来るはずの探偵を殺そうとしているマーゴット。
だがその晩山荘に現れたのは4人。誰が探偵なのかわからない。
しかしこの中の一人が全てを知っている!
マーゴット(犯人)の心理で進行していきます。
誰を殺せばいいのか?面白すぎて読み出したら止まりませんでした。
女の打算と虚妄を描いた秀作
(2006-10-14)
ミステリは通常"犯人探し"がメインのテーマである。ところがP.マガーは「被害者を捜せ」、「目撃者を捜せ」等の作品で、"被害者捜し"、"目撃者捜し"をテーマにするという画期的なアイデアを披露して見せた。本作のテーマは題名通り、"探偵捜し"である。
ホテルを経営する夫妻の妻が夫を殺害した。殺害後、夫が生前に探偵を雇っていた事に女は気付く。折りしもその晩、4人の男がホテルに宿泊する。4人のうち誰かが探偵の筈なのだが、果たして誰なのか ? これが本書のテーマである。女の視点で文章が書かれるので、犯罪者の疑心暗鬼の心理状態が手に取るように分かり、サスペンス感が増す。怪しい(本当に怪しいのは女自身なのだが)と思った男にすぐ女の武器を使って近づく尻軽振りがマイナス点だが、冒頭で誰が探偵なのかのヒントを堂々と明記している作者の技巧には感心した。
「探偵を捜す」というユニークな趣向でサスペンスと本格味を見事に融合させた傑作。

