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東京創元社
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カスタマーレビュー ![]()
ご都合主義のロジック
(2008-05-31)
本書は、良くも悪くも同年に執筆された『エジプト十字架の謎』によく
似ている。過去の復讐というモチーフによる連続殺人、メイントリック、
唯一この人物しか犯人ではありえないというロジック...。
しかしながら本書は『エジプト十字架』と同樣、この人物しか犯人では
ありえないというロジックに合わせんがためのご都合主義が、随所に
見え隠れするのである。
まず第一の事件では、犯人が身に着けているのが自然な物を、身に
着けていないために怪しまれるはずのところを、誰もそれを理由に怪
しんだりしないのは不自然である。これはレーンのみが犯人に目星を
つけるようにした作者の都合によるものである。
第ニの事件はとくにひどいもので、犯人は殺人とは別のある目的で
被害者を船から投げ落とすのだが、たまたまうまくいったものの、もし
も失敗して目的とは逆の結果になっていたら、誰が犯人であるか露
呈しかねない極めて危険な方法である。普通なら犯人は絶対にこの
ようにリスクの高い方法を選ぶはずがないにも関わらず、犯人にもっ
と確実で安全な方法でその目的を果たさせなかったのも、レーンに
デヴィッドが無実であることを証明させるための作者の都合である。
そして第三の事件で犯人はピストルが発見されても何の不都合もな
いにも関わらず現場にピストルを残さず、誰かに見られるかも知れな
いというリスクを冒してまでわざわざ川に投げ捨てさせたのも、コリン
ズが犯人ではないとレーンに証明させるための作者の都合である。
これらのように、不自然でご都合主義に満ちた本書だが、アンフェア
な記述がない分、『エジプト十字架』に較べればマシである。
傑作です
(2007-04-12)
傑作として異様に評価の高い「Yの悲劇」より、こっちの方が100倍傑作だと思う。初読の際、手がかりが出ていると思われる部分に赤線を引きながら読んだのに、僕も一番重要な手がかりを見逃してしまいました。解決編で、「あ、そういえば書いてあった」という感じ。やられましたね。
推理小説の王道
(2007-02-09)
翻訳ものというのは いつもどこか文章に少なからず違和感があったが、この本は全くそれを感じさせないくらい文章が上手。
ゆっくり読んだのに、解決に結びつける鍵を見落としていた。
後からの謎解きで、ここも あそこもと次々 鍵が出てきていたことに気づいた。w
とにかく理論立てて、推理するドルリーレーンの言葉には、最後の最後まで楽しませていただきました。
Yの悲劇に劣らぬ本格ミステリの傑作
(2006-07-31)
クィーンの代表作と言うと「Yの悲劇」がよく挙げられる(しばしば海外ミステリのベスト1に選ばれる)が、本作はそれに劣らぬ本格ミステリの傑作である。派手な事件が起こる訳ではないが、小刻みな事件・謎の積み重ね、次第に明らかになる過去の恩讐に起因する事件の全貌、巧みに散りばめられた伏線と真相のカギ。そして何と言っても鮮やかなのは、「X」の意味が最後の1行で明かされるという凝った趣向。ダイイング・メッセージの趣向を大々的に取り入れたのは本作が初めてではないか。このように全体の構成が非常に良くできていて、パズラー好きには堪らない作品である。探偵役の元シェークスピア俳優ドルリー・レーンは作品に重厚味を与えているが、彼について詳細を語るには「レーン最後の事件」を待たねばなるまい。
非常に巧く構成された犯罪パズル小説
(2005-08-26)
アメリカではしばしばエラリー・クイーンの最高傑作と賞されるこの作品、実際読んでみて出来の良さに感心しました。舞台設定、登場人物、(文章上の)手掛かりの隠し方などとても興味深く、現実離れした物語なのに妙に説得力があります。意外な犯人や巧妙な殺害手口が無い(私にとっては)にもかかわらず、それを補うだけの魅力も他にたっぷりあると思います。難を言えば、推理の過程に多少納得出来ない部分があり(結局解答無しという疑問さえある)Drury Laneはちょっとやり過ぎの観もあるけれど、それでも充分楽しめるし良質の犯罪パズル小説を読んでいる手応えを多分に感じさせる作品です。

