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阪急コミュニケーションズ
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カスタマーレビュー ![]()
現場と、業界全体と、世界の視点から
(2008-11-15)
介護保険制度開始年度にこの業界に入り、介護福祉士も取得し、現場でのケアについての問題点はずいぶんと分かるようになったし。低賃金ゆえの人材の流出も体感していたが、どんな切り口で書かれているのか気になって読んだ。
第1章 「介護する人」が誰もいなくなる!
現場の実態を把握することができるでしょう。
第2章 「恍惚の人」の時代に戻ってもよいのか?
日本での介護をめぐる近年の歴史について触れていて、自分自身、福祉の歴史のおさらいをすると同時に、業界全体の流れについても知ることができて、勉強になった。ただ、制度やサービス内容のことばかりで、ちょっと小難しいような、退屈気味な印象が残る。
第3章 なぜ、制度がうまく回らないのか?
介護保険制度そのものの問題や、世界から見た日本の介護問題が理解できるでしょう。世界的規模の視点を入れると、日本の現状に危機感を覚える。
第4章 規格どおりの介護がよい介護とは限らない
『人が人に時間をかけることで、見えてくるものがある』でのコメントに、とても勇気づけられた。目に見える形での報酬はないかもしれないが、お金には換えられない経験や価値観をもつことができるのが、この仕事の醍醐味かもしれない。
自分だけは大丈夫と本当に言えるのか
(2008-10-20)
高齢者の単身世帯が増加していくのは明らかなのに、
世間から聞こえてくるのは「ああはなりたくないものだ」という高齢者自身による介護を要する人への差別だ。
そんな社会で介護職に対する待遇は「やりがい」という情緒的な側面だけを強調する。
介護の現場の声を問題点を踏まえてレポートしてるが、そこに切実な心を感じるのは、
現在介護職をしている人だけの問題ではない日本全体の問題としての危機感と怒りを取材班が見て感じたからに思う。
加齢も障害も自分には関係ないと他人事にしたり、現実から眼を逸らさず、考えなくてはならない状況まで日本は来ているのだと考えさせられた。
自分たちのこと、と考えるべき問題なのですが
(2008-10-17)
介護の実情が知りたくて読んでみました。
以前2ちゃんねるあたりで、「結婚しようとして先方の両親に挨拶に行ったが、年収200万と言ったら鼻で笑われた」という内容のものがありました。
それに対するコメントの多くは20何歳で年収200万なんてありえないだろう、というものが多かったのです。
ですが、本書によれば、介護にかかわる人の4割以上が月収20万円以下とのこと。そして男性が結婚を機に退職する、ということが日常茶飯だといいます。「こんな給料では子供も作れない」と。
ただし、これまた本書によれば、給料が安い、というのは直接の原因ではあるものの、それでも介護の仕事にやりがいを感じている人は多いのです。その情熱を持っても介護職の継続を断念させるものは何か。
それは介護職の展望のなさです。何をやっても賃金は同じで、しかも毎年削り取られていく。創意工夫をして施設が黒字を出しても、黒字を出せば「余力がある」ということで翌年からはさらに予算が削られる。介護報酬以外からの収入を禁じられているため、そうなると人件費を削るしか他に道がない、という悪循環です。
これでは自分たちの仕事が社会から評価されている、という意識というか、誇りなど持ちようがありません。
「介護を社会化する」と宣言し介護保険をスタートさせたのは良いことです。特定の個人だけが介護の苦労を負担する、ということは大きな間違いだからです。ですが、そのコンセプトを実現するための制度設計がまるでダメということです。
書中にこんなセリフがあります。
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自分たちの老後を担う人たちとその仕事を私たち自身が貶めている。それは「自分だけは年もとらないし、絶対に障害を持つこともない」と言うのと同じだ。
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番組製作者の為政者に対する怒りが、本書のタイトル「愛なき国」に表れています。「愛がない」とは誰に向けられた言葉かといえば為政者に対してだけではありません。むしろそれは、この問題を誰もわがことと考えられない国民に向けられているのです。
何年か後には、介護される側なのかする側なのかの別はあるにせよ、間違いなく自身が関係することです。相当しっかりとこの問題はウォッチして、かつ積極的にかかわっていく必要がありそうです。
それでも救いは、介護殺人、虐待などそれまでは頻発していたにも関わらず、めったに報道されることはなかったのに、「介護の社会化」のおかげでそれらが明らかにされることも多くなり、問題が共有される土壌ができたことだと述べる関係者も多いそうです。
介護制度の問題点を理解するための入門書
(2008-09-04)
日本の介護から人材が逃げていく現状について、第1章で実例を上げながら現状を把握、第2章で日本の介護の歴史、第3章で外国人の活用など、対策を検討している。しかし、問題の多くは介護報酬が低いことによるものであり、そこを放置したままでの対策では根本的な解決には至らないだろうという印象が強すぎるため、第1章の現状把握以外は印象の薄い本になってしまっている気がする。
高齢化が急速に進む中、制度設計が難しいことは確かである。しかし、国が介護を本気で考えているならそんなことは言い訳にならない。
業界全体がワーキングプアに近い状態であるにもかかわらず、介護報酬の2分の1を負担する企業側が反対するため保険料を上げることができない。
そもそも介護報酬が低いのは、小泉元総理が社会保障予算を削ったからである。当時の政府が優遇したのは大企業であり、法人税を下げ、派遣労働を規制緩和し、一方で労働者に多大なる犠牲を強いてきた。その結果が使い捨てされる派遣労働者であり、希望を持ってその職についた介護従事者である。
やりがいはあるものの、資格を取っても取らなくても、一生懸命働いても働かなくても、能力があってもなくても、経験があってもなくても給料が同じ、しかも結婚して子供を持つこともできないほどの低賃金では介護職を続けることなどできるはずがない。
本気で金をかけて介護制度を成立させるのか、それとも介護を再び「家庭の問題」に押し戻すのか、国が決断を下すべきときが来ているのではないだろうか?

