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筑摩書房
グループ:Book
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価格:¥ 777
発売日:2006-08
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カスタマーレビュー ![]()
賛成できません。
(2006-12-13)
この秋、新書、選書をいくつか読んだのですが、本書
にだけはコメントしておかねばと思いました。
アジア主義とは、かつて竹内好が整理したように、近
代日本の思想的対抗軸の軋みから生じた鬼子のような
もので、これを解きほぐそうとするなら、何より客観的な
歴史考証をもってあたらねばなりません。しかし、歴史
学の現状は、未だそこには到達していないようにみえま
す。(例えば、有馬学『日本の歴史23 帝国の昭和』参
照)その中で、本書が満州国と東洋モンロー主義、そし
て東亜新秩序と大東亜共栄圏、これらの観念と各時期
の史実を関連付けて論じていることは、全く意義のない
こととは思いません。
ただし、それだけで「アジア主義の歴史的経験の継承」
を言うのは、少し乱暴に過ぎませんか。著者は、現在の
アメリカの覇権主義を上手に受容するための日中主導の
東アジア共同体を提案していますが、もう一方の覇権を
目指しているように見える中国が、これに簡単に同調す
るとはわたしには思えません。同じ夢のような構想なら、
まだ姜尚中さんの「プロジェクトとしての東アジア」(『在
日』)に賭けてみたい気がします。うーん、やっぱり賛成
できないな。
1930年代「日中関係」史
(2006-09-28)
1930年代の日中関係史、あるいは中国に関する日本当局や知識人の言説に興味がある人にお勧めの本。
タイトルは「アジア主義」を掲げるが、実質は1930年代の日中関係史に終始している。当時の日中関係のプロセスを知るには、文章も平易で簡潔であり、もってこいだろう(ちくま新書の坂野潤治さんの著作の影響が少なくない)。けれども、「アジア主義」に興味がある人には、かなり物足りない。というのも、井上さんのおっしゃる「アジア主義」は、端的に言えば「日中提携」のことだからだ。
本論では中国との関係以外、アジア諸国と日本の関係には言及がない。もっぱら日本・満洲・中国・英米のせめぎあいを扱っているだけ(その記述自体からは得るところが大きい)。1930年代の日中関係という「歴史の教訓」のみをもって、今日の東アジア共同体を照射するのは、やや無理がある。
アメリカを巻き込んだかたちでの東アジア共同体という結論部分も、現実的ではあるが、ある意味多くの人が抱いている感覚だろう。やっぱり物足りない。
蛇足を一点。表記ミス、改行時のインデントのミスなど、文字組に関する問題が頻繁に見られたことは残念だった。

