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熊野 純彦

筑摩書房

グループ:Book

ランキング:20381

価格:¥ 735

発売日:1999-05

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カスタマーレビュー

レヴィナス、その人と思想を「おもしろく」俯瞰できる読み物  (2008-07-07)
他者、倫理、死、エロス、フッサール、ハイデガー、デリダ・・・

レヴィナスを取り巻く記号の凄みは目にした者のほとんどを
読まずしての敗走に駆り立てるに十分である。

が。
この本ならなんとかイケるはず!

「入門」の名に相応しく、人間・レヴィナスの横顔から
入りその歩みと丁寧に照応させた思想の読み解き。
随時引かれる抜粋の量も多く、予備知識の乏しい初学者に違いない
購買層を少しでもレヴィナス自身の言葉に触れさせようと
努めている筆者の真摯な姿勢に好感が持てる。

「他者は逃れ去ってゆく。
 それはわたしの手に届かないところに
 他者の死そのものが待ち受けているからである。
 他者の死は、結局わたしには取り返しがつかないだろう。
 そうであるなら、いま・ここで現前している他者についても
 わたしはどうすることもできない(本文より)」

「退引は他性である(E・レヴィナス著/合田正人訳「存在するとは別の仕方で」)」

気づけばペンを片手に夢中で書き込みながら読んでいる。かも。

超えたくとも埋めようもない差異  (2007-03-04)
私はレヴィナスの初心者だ。サルトルが不安と神経症の世界であるなら、レヴィナスは不眠と心身症の世界。自己違和的になった身体の登場が興味深かった。
サルトルとの対比、ハイデガーとの対比を通じて語られるレヴィナスは、ホロコーストの時代を生きたヨーロッパのユダヤ人としての経験を無視することはできない。
倫理の基盤として、他者との関係にいっさいの受動性よりも受動的な、無限の受動性を据えることは卓越である。「なぜ殺してはいけないか?」という素朴な問いに答える可能性が、ここにはある。
私が他者を構成するのではない。他者が私を構成する。私と他者との間の決定的な断絶。だからこそ、埋めようもない差異を超えようとして、切ない愛撫する。他者が私を受肉する。同時に、私と他者との断絶の再確認である。私が私でしかないことの再確認である。

個人的な連想を書く。愛撫が私に残すのは、渇望ではなく、焦燥ですらなく、絶望である。絶望は私が渇望されなくなることによって完成される。私は私の老いを、ひたよる死を先取りさせられ、殺される。
「希望は、それが許されないときにはじめて希望となる」(p.75)。私が欲していたのは、応答ではない。私は呼びかけを欲する。なぜかならば。そこに埋めようがなく、超えようがない、断絶があるからこそ。

読みやすいレヴィナス入門  (2007-01-09)
哲学者の入門書のある理想的な形の一つは、その哲学者の鍵となる一節一節の言葉を適切に選択し整理して並べ、それに補足説明を加え全体的な概観をさせる助けとなるものであると思うが、この書物はその要素を十分に満たし、哲学者の潔癖さゆえに時にはまだるっこしいものとなる議論を簡潔にまとめていて、全体的な理解に役立つ。熊野自身は自分なりの新しいレヴィナス論と言っており、それはレヴィナスの個人的事情にそれほど準拠することなく、主に彼が書き記した言葉を頼りにレヴィナスを展開しているからと思われるが、それが順序だてて書かれていて読みやすい。特に「全体性から無限」から「存在の彼方へ」に至る転回がレヴィナス理解の肝であることがわかりやすく述べられている(逆に欲を言えばもう少しこの辺を突っ込んでもらいたいところであったが)レヴィナス思想の立脚点や限界に触れられており、レヴィナス理解の入門書として良書であったと思われる。

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