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堀川 弘通

筑摩書房

グループ:Book

ランキング:604216

価格:¥ 882

発売日:2003-09

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カスタマーレビュー

よく書けてはいるのだが  (2005-05-11)
著者の堀川氏は、自身映画監督であるが、黒澤明の助監督として等身大の黒澤に接してきた人。それだけにこの本は、巷のクロサワ本とはひと味違ったものといえる。第一章「道を模索して」は既存の文献の引用が目立つので、あまり面白みがなかったのだが、第二章「助監督時代」以降、つまり堀川氏が見た黒澤明についての記述になってからは俄然、叙述が生き生きしてくる。『馬』の助監督のとき、主演高峰秀子とのあいだに結婚話やセックスについてのくだり(55-60頁)など、「ヒューマニスト」黒澤からはかけはなれた実像を知る思いだ。

また米英合作映画『トラ・トラ・トラ!』の挫折をめぐる経緯などは、黒澤の被害妄想、一瞬即発にまで悪化したスタッフたちとの関係、夜中の2時に撮影所のガラスを割りにいったという信じがたい奇行、そして孤独な彼をなかば放置した黒澤の親族たちにたいする思い「どう考えてもこれは異常というほかない」(294頁)などは、非常に率直でかつ真摯さに打たれる。

では、★4つか5つでもいいのではないかと思うのだが、★3つか厳しくすれば2つにせざるをえない不満が残るのも事実だ。たとえば『トラ・トラ・トラ!』のアメリカ側の監督がフレッド・ジンネマンから「二枚格落ちのリチャード・フライシャー」(285頁)に交代したと書いているのだが、フライシャーがジンネマンよりも本当に「格」が下なのかは疑問である。もちろん著者が、どの監督を評価しようが構わないが、フライシャー映画を心から愛する者の一人として、ときたま堀川氏の映画的感性を疑わざるを得ない記述が散見されることが残念でならない。

ちくま文庫版では、川本三郎の解説も内容を要領よくまとめてある。

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