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野口 悠紀雄

ダイヤモンド社

グループ:Book

ランキング:39273

価格:¥ 1,680

ポイント:16 pt

発売日:2007-10-27

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カスタマーレビュー

日本経済界へのカンフル剤となるか?  (2008-05-06)
週刊ダイヤモンドの連載コラムを加筆しまとめたものが本書だ。
筆者の知り得る限りだが、著者ほど実直で過激な論客はいないとおもう。
筆者の思うところだが、著者が言うところの「モノづくり幻想」を抱いている製造業とは松下(パナソニック)を代表とする「水道哲学」を未だに信仰している企業、それら大手企業への警鐘ではないかとおもう。具体的な固有名詞を使うことで連載中止が懸念されるためにそれらを伏せているのだろう。
現実に製造業が陥っているコスト対策を雇用問題(労働者と社会保障含む行政など社会全体のインフラ)や政治問題(金融政策、税制、規制緩和)と深く結びつけて批判している。
中でも「現状維持が目的」と化したような官僚主義的な民間企業のイノベーションへの取り組みなど、思わず苦笑するしかない洞察力には屈服するしかない。
実名報道(批判)の旗手が佐高信なら匿名報道(批判)の旗手は野口悠紀雄ではなかろうか。

どこかで読んだような・・・  (2008-02-10)
金融業でのイギリスとの比較、遅れたIT化、非英語圏の不利さ、利益にならないコモディティ生産、外資に対する拒否意識等々、既にどこかで読んだような内容が続く。たった2つの事例から効率的市場仮説を「証明」したとする内容には失笑。書名の「モノづくり幻想」とは結局なんなのかも伝わりにくい。
全体として「人」や「文化」に対する洞察が乏しく、従来からそこここで見られる主張を寄せ集めた雑談集のような印象。興味深い内容も含まれるが、書籍としてのまとまり、完成度が低い。

日本経済の構造改革は難しい。自分の構造改革を先にするしかない。  (2008-01-06)
○読み始めたきっかけ

野口先生の著作は、「超」整理法から読んでおり、今回も早速購入しました。
本の内容の正確さと実践的な手法や経済学に準拠した今の経済状況についての
考察があり、信頼できる経済学者の一人です。

○心に残る言葉

p.23 イギリスは製造業から金融業へシフトをして、長期的な経済成長を達成している。

p.48 日本の食料自給率は低いが、農業に適した土地ではない以上、他国から
購入した方がコストが抑えられる。また、世界調達をすることによって、豊作・
凶作・病気などのリスクを逓減できる。調達国との交戦状態は今後考えられず、
またその調達国の農家もビジネスで穀物輸出をしており、日本に輸出できない
となると、国家が買い入れをするしかない。そのような状態も想定できず、食
料については世界調達が望ましい(野口氏の以前からの主張)。

p.86 日本経済の現状は、部屋の温度が急に下がった(景気が悪くなった)ので、
持病が悪化した。手術(構造改革)しないと治らない。しかし、手術をすると宣
言したものの、痛み止めを与え続けてきた(国債発行・公共投資)。そのうち部
屋の温度が元に戻った(円安・中国特需)ので痛みが止まった。したがって、今
後も手術が行われることはないだろう。

 →非常に分かりやすいたとえである。鉄鋼・商社・自動車などの産業は20世
紀の産業であり、21世紀のリーディング産業は金融やITであるというのが、野
口氏の主張。

○どんな人に読んでもらいたいか。

 経済学を学んでいる学生にお勧め。また、今の日本経済の現状と問題点を知る
上でお勧めです。

日本の現在の姿  (2007-12-04)
経済に関しては門外漢なのだが、「小泉改革」による景気回復が国民には実感出来なかった理由が本書により理解出来た気がする。高度経済成長を続けたこの国には現在様々な既得権益が存在し、これらが真の改革を阻害し続けながら格差を生み出している。世界では異常な原油高や米国サブプライム問題などにより加速度的に経済が動いている現状で、この本に書かれた状況も変化しつつあるのは確実だが、まず日本が真の改革に動いていく以外に激動の時代に対応可能だとは思われない。

議論のベースとして、製造業の方々におすすめ  (2007-11-04)
週間ダイヤモンドの連載記事をまとめた書。挑発的なタイトルであるが、野口氏の従来の著作で展開された主張から特に新しい視点は提示されていないと思う。しかし、読みやすい作品なので、日本を代表する新自由主義の論客と言われる同氏の著作(超○○シリーズ以外の政治経済物)を始めて読む方にはお勧め。
著者の主張する論点の是非はともかく、国内で幅広く議論されるべきものなので、今回、そのタイトル名から恐らく多くの製造業関係者が手にとることになると思うが、とても喜ばしいことだと思う。
内容については、例えば、日本の近年の円安について、主要国からかつてのような批判が出てこないのは、ドイツやイタリアを除きアメリカやイギリスが脱工業化し、もはや工業国としての日本が脅威にならなくなったから等の鋭い指摘は、相変わらず素晴らしいと思う。
ただ、同氏の、日本は製造業を中心とした産業構造から、金融業を中心とする高度サービス業にシフトすべき、という従来からの主張に対し、今回も個人的に下記の疑問点が解消されることはなかった。
・鉄鋼業を代表に重厚長大産業をひとくくりに批判しているが、日本の素材産業は(エネルギー系を除き)部品産業と共に、国際的に高度な技術力と競争力をもっている企業が多いこと。
・グローバルにものづくりを展開する製造業の位置づけが不明。あるいは、アップルのようなソフトウェアとハードウェアを高度に融合させた製造業の将来性に関する視点が少ない。(一足飛びに高度金融業への転換を主張するより、これら「ネオ製造業」への転換の方が現実的かと思うのだが。)
・中国特需により、一時的に日本の製造業は息を吹き返しているにすぎない、と批判するが、BRICS諸国の発展は、中長期に日本の高度な機械製品の供給を必要とするのではないか。
・金融業等の高度サービス業を主体とした産業構造への変革を主張するが、サブプライム問題に代表される不安定性を経済社会の中に内在させる問題性に関する視点が少ない。(実際、ロンドンのシティでは、ボーナスの削減はもちろん、レイオフが開始されたことも報道されている。)
とはいえ、繰り返しになるが、自分は野口氏の知性と実にわかりやすい文章は、日本でもトップクラスのものだと思い、その著作を毎回とても心待ちにしている。
同氏のストイックなまでの主張は、実問題として議論する場合、大きな摩擦を生むことになると思うが、それを覚悟で議論されるべき問題ばかりだと思う。 ただ、冷徹かつ合理的な同氏の視点には、今回、日本の将来への悲観が従来以上に感じられたことが気になる。

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