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ダイヤモンド社
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発売日:2008-02-29
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新しい都市経済学の原論となるべく書
(2008-08-01)
クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭
フロリダ教授はトロント大学の都市経済学の研究者です。これまでの都市経済学というのは交通渋滞がどうのとか街並みを欧米並みにきれいにとか、税金か公営住宅のどちっがよいかなどという話が多くて、それはそれで大事ではあるけれどマクロ的で長い時間すぎて、今一つ自分のこと、あるいは一企業の問題として捉えることができませんでした。
この本は、クリエイティビティを核に都市経済と個人の関係までうまくまとめていると思いました。そして結果的に都市経済学の新しい存在意義を高めたと思います。仕事の仕方や組織のあり方など個人的で現実的な話として、近い将来をどう考えるか、とても参考になります。私が普段感じていたことをまとめて整理してもらってうれしく思いました。大都市の集中と地方の生き残り、教育の内容や個人間の格差の問題なんかはこうした切り口がどうしても必要になってくるでしょう。ただし、クリエイティブとは言っても医師や法律家のような高度な専門家も含んでいるのはちょっと無理に思える点がある。むしろ日本では製造業内の創造性も含めないと一足飛びには変わらないと思う。それから私達に変化の実感が少ないのは居住モビリティや言語、外国人就労の問題もあって日本は既に遅れを取っていることにも注意したい。
情報社会(梅棹)、脱工業化社会(ベル)、ネクスト・ソサイティ(ドラッカー)、第三の波(トフラー)など70年代に盛り上がった未来社会論がありましたが、やっと現実のものになってきたと感じています。
訳者の井口先生は青山学院でクリエイティブ社会を研究している方で訳も読みやすいと思います。井口先生自体は青山らしくちょっとアーチスチックに偏っている気がします。まあそれは関係ないのですが・・・。それから同じ著者の「クリエイティブ・クラスの世紀」のほうは本書より落ちるので、忙しい方は読む必要はないと思う。
クリエイティブな都市が反映する時代
(2008-07-04)
現在の経済・社会がもとめているのはクリエイティビティであり,都市が成長するのに必要な「3 つの T」は技術 (technology),才能 (talent),寛容性 (tolerance,ゲイを許容する) だと著者はいう.これらをもつ都市,たとえばオースティン,サンフランシスコ,シアトル,ボストンなどにクリエイティブ・クラス (新たな経済階級) のひとびとがあつまって活性化する.シリコン・バレーはこれらの都市のモデルにはなりえないし,著者の大学があるピッツバーグもおくれをとっている.
いろいろと刺激的な内容をふくむ本である.アメリカの都市を中心に論じていて,おなじ基準では日本の都市はひくい評価をうけることになるだろうが,たとえば東京は著者のいうクリエイティビティがゆたかな都市であるようにおもえる.訳も基本的にはよみやすいが,重要なキーワードである social capital (ソーシャル・キャピタル) を「社会資本」と訳しているのは誤訳だろう.
問題意識を持つ方へ
(2008-05-07)
本書をどう読むか?その人自身の社会変化への関心度に大きく左右されるかもしれない。大きな社会変化の中にいることに気づき、それをどう考えるかを模索する人にとっては啓示的である。経済推進の原動力が「大企業」という巨大組織ばかりではなくて、個人の創造性にまで還元される可能性を示している。クリエイティブ側にいる人にとって大いに勇気づけられることだろう。本書において「寛容」の部分(ゲイ指数が都市のクリエイティビティーを図る指標かどうか)は日米の環境の違いがはっきり出て議論される部分でもあるが、あくまでそれをそのまま受け取るのは、「クリエイティブ」とはいえないだろう。新しいものの出現を社会がどのように認め、受けとれるかの指標を、これからの日本でどのように考えていくかと視点をきりかえるほうが重要である。あたらしい「クリエイティブ」は、新奇さゆえに受け入れられがたく、創造に「不寛容」な社会である限り、クリエイティブの自滅という現象が起きてしまう。また、新しいものが出現したときに、専門家ほど、発想がその分野の枠組みに縛られ、まず「否定」の方向に傾きがちである。(フランス絵画の印象派の出現を当時の美術評論家は正しく評価できなかった。)「寛容」はそうした意味から、均質を尊ぶ日本社会に課せられた課題でもある。本書は、読み手の対象が広く、都市論、経済論、社会論として読めるが、個人的には、すっかり閉塞した感のある日本経済をどう考えるか?の未来論として読んでみた。新しい社会の担い手となる経営者にこそ必読と思える。あるいは問題意識を持つ一般の方へ。前訳「クリエイティブ・クラスの世紀」との併読がわかりやすい。
豊富なエピソード・事例・データが説得力を与えている
(2008-04-24)
前訳書『クリエイティブ・クラスの世紀』はマクロな動きから入り、他の類似理論の撃退を経てアメリカの細かな国内政治に言及するなど、ちょっと拙速な印象を与える内容だった。その点、本書は人の生き方などミクロな動きを丹念に拾い、それがどうして現在の都市や経済の成長に結びついているのかについて、興味深いエピソード、豊富な事例とデータ分析を交えてじっくり描いている。最近、日本経済新聞やエコノミストに立て続けに書評が掲載されたが、前者は創造都市論の観点から高く評価し、後者はマーケティングの観点から新規さに疑問を投げかけていた。ただし日本のこの手の本は、著者のイメージだけで断定的に書かれているケースが大半であり、その点本書の実証的で抑制のきいた論の進め方には説得力があり、著者の慧眼には感服せざるを得ない。翻訳もこなれていて読みやすい。じっくり味わう労作と言えよう。
訳がだめで、原典から相当削られている
(2008-04-24)
内容は面白いし、首都圏でクリエィターと呼ばれる人達のライフスタイルとダブルところがあるだろう。この本に書かれている内容が定かだとすれば、日本で生き残れる都市は、おそらく、東京の一部だけだと思う。また、本書にでている3T (technology, talent, tolerance)がある人間が東京に集まり、富裕層となり、地方との格差を生むのだと思う。今はトヨタで儲かっている名古屋も、この著者のフロリダが三行半を突きつけたピッツバーグー(カーネーギー・メロン大があるが、所詮は重工業のさびた街)のように未来はないだろう。なぜなら、あまりにも、効率・改善を追求するトヨタの企業文化と名古屋人気質は3Tに出てくるtoleranceを否定しまう。残念なのは、原典と比べてみると、日本語に翻訳される上で、随分内容が削られていた。おそらく、これは、日本語訳出版元のダイヤモンド社が、ビジネス書として売り込むつもりで意図的に行ったのだと思う。原典のThe Rise of Creative Classも併用して読まないと、出典、データの信憑性等が定かでないと思う。さらに、本書の発想・出来事・シーン等が日本では見かけないため、訳を行う上で、あまりにも日本人的意味構造に迎合されており、オリジナルのニュアンスが伝わってこない。アメリカで高度な教育を受け、長期住んだ人間でないと、適訳は無理かもしれない。

