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大日本図書
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カスタマーレビュー ![]()
ずっとそばにいてほしい言葉たち
(2006-08-23)
これ、すきです。
自分の心の海をただようかなしみ、座標の定まらぬよろこびの行き着く場所を、ちいさな手のひとさし指でそっと教えてくれるような詩集です。
60億の人をがくがくと揺さぶるような豪奢な唱句はないかもしれません。しかし、この詩集の言葉は、はじめてひとりでるすばんをするときの幼くまっしろな気持ちをそっと抱きしめてくれます。世界とこれに対峙する自分のすべてを知ろうとする若い青色の意志にさりげなく寄り添ってくれています。愛する人の墓石を静かに見つめる人の薄墨色の思い出をやわらかくなででくれます。
詩集の最後に、「あなたに」と題された工藤直子さんの文章には、こんなことが書いてあります。
《生まれてきたってことは、迷子になったってことかなあ。…なんて思っています。(中略)迷子の気分は、じつは、すきです。とても、なにかに「あいたく」なるから。そして「あえてうれしい」から。》
この本は、俺にとってかけがえのない一冊です。
あなたの思春期を、みずみずしい言葉で
(2006-05-16)
絶対に良い! 中学生高校生大学生でも読んで欲しい。うん、おばさんの年齢は懐かしさのあまり、胸きゅんの青春を思い出すだろうなあ。
「あいたくて」このどうしようもない気持ち、他者との接点を見出したい、自分の気持ちを受け止めて欲しい、本当のことを言われたら怖いけれど聞きたい、差し出す手と差し出される手の暖かさに涙する、心が千切れるように痛い日々。
ああ、恋に恋する事も、そんな時間も、悲しみや憤りでさえ、何もかもが自分の聖域だったのに、今は忘れてしまったような大人にも、これから恋をしていくあなたにも、極上の1冊です。
どきりとさせる短い一行があります
(2005-08-16)
いろいろなものに「あいたくて」、でまとめられた詩集。
短い一行がどきりとさせ、自分では知らなかったものの見え方を伝えてくれます。「痛い」は人を好きになった時どうして心が痛いと思うのかを、「こころ」はなにかで砕けてしまった心はそれでも大切なもの、と。猫の舌を「ちいさな赤いハンカチ」とみたてる「おしゃれ」も、素敵なもののみかたに目を開かせてくれます。最後に掲載されている詩、「また あいたくて」には、別れの悲しさも「また あいたくて」と歩き出す力になるのを感じます。数行の詩の中の、たった一行、数個の文字が心に飛び込んで世界を変えていくみたいです。
日常世界と詩歌の世界の境界について、物理学者の寺田寅彦さんが書いています。「稀に、極めて稀に、天の焔を取って来て此の境界の硝子板をすっかり熔かしてしまう人がある」と。工藤直子さんの場合は、決して強い言葉でもなく難しい言葉でもないのですけれど、この境界の硝子板にぴしり、と小さい穴をあけ、日常世界の私たちに向こう側のあることを驚きと共に教えてくれるといったところではないでしょうか。あいた小さい穴からは、向こう側の世界が少し覘いたり、風が吹き込んできてまた驚かされるのです。
佐野洋子さんの画は、「てつがくのライオン」などに比べてはかなり控えめに添えられているというところ。
詩はもちろん,挿絵も歌も素敵です
(2004-09-09)
工藤直子さんの詩は,好きです。意外なくらい客観的な観察に,的確に内面を投影されているような感じ。その観察は,驚くほど繊細であったり,あるときは壮大なスケールを感じさせるものであったり。
「あ・い・た・く・て」は,この詩を使った合唱曲を歌うために,資料として読みました。これまでにも,工藤直子さんの詩を歌ったことはありましたけれど,ここまで共感できて歌えるのは,今回(木下牧子作曲の「光と風を連れて」)がはじめてかも知れません。

