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祥伝社
グループ:Book
ランキング:170672
価格:¥ 580
発売日:2004-12
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元審議会委員の限界
(2007-06-16)
現在の北方領土問題にも直結する「植民地主義」について、十字軍からさらにバイキングの凶暴性にまでそのルーツを求め、絶対悪と断定した点では高く評価できる。
しかし、Mr.ヴァン・ウォルフレンの著書と照合してみると、日本と日本人を語る際に重大な点を見逃がしていることが窺える。こちらでは日本人が民族単位で、寛容・互譲の精神、察しの文化などの「和の精神」を共有しているとしているが、これらはすべて権力や既得権益を持てる者が、持たざる者のみに強制している「国民性」ばかりだ。しかもそれが権威への絶対服従を強要する目的で行われるだけに「力による正義の演出」という点では(社会的地位の高い)日本人も同罪といえよう。
実際のところ「和を以って尊しとなす」との美徳も、メガヒット現象の乱立を通じて内部的なグローバリゼーションに悪用された結果、自国本来の文化を破壊し、言語の乱れを招き、人と人との信頼関係をも失わせることになった。このことを見過ごしてはならない。
ともあれ、外交上の対立関係を強調するあまり、日本の社会と民族を必要以上に美化してしまっては、日本における権力者や既得権益層の加害性があいまいになってしまう。しかも白人国家のみを比較対象とするならまだわかるが、遺伝子の面でも日本に少なからぬ影響を与えていた中国までも引き合いに出すあたり、曲庇のレベルとさえいえる。そのため、対外的には反権力・内部的には権力寄りという、矛盾した論点となっており、この点が残念だった。
もっとも、著者の略歴を見ると「審議会委員を歴任」となっているだけに、日本社会の権力者・既得権益層を非難することは、立場的にできないのであろう。その意味では、Mr.ヴァン・ウォルフレンの意見のほうが正鵠を射ていることを、図らずも証明してしまったといえる。

