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高橋 洋一

文藝春秋

グループ:Book

ランキング:510

価格:¥ 735

発売日:2008-05

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霞ヶ関埋蔵金男によるお手軽経済解説本  (2008-10-11)
霞ヶ関埋蔵金男によるお手軽経済解説本

 大蔵官僚から実質的な竹中平蔵のスタッフとなった霞ヶ関埋蔵金発見男・高橋洋一による、時評的経済解説本である。
 テーマ設定の後のインタビューをまとめた形式のお手軽編集本の様であるが、刊行を急ぐ大人の事情があったのであろう。
 2008年春時点での、竹中チームによる自民党・マスコミ内の「小泉・竹中構造改革路線」離れ・疲れに対する反撃の一冊との役割を担っているものと思われる。
 大蔵省・財務省叩きが数多くちりばめられているが、トータルでは他省庁殊に日本銀行他の省庁に対する姿勢の高圧さと東大法学部卒業の官僚に対する言動に私怨を感じる。(高橋の指摘が十分根拠のある事例であっても。)
 高橋と本書より垣間見える高橋が実質的に応援しているのであろう政治家たちが持つ単純化さた世界の動向、実質的にはアメリカ標準原理に価値を置くことへの不信は、高橋が言葉を重ねた本書によっても解消しない。
 中央省庁内・官邸内部の人の営みと交錯する利害の人間臭い記述は、収穫である。

楽しく読める一冊だが・・・・  (2008-10-09)
 なかなか楽しく読める一冊であった。日銀を「馬鹿」の一言でばっさり切っているあたりは読んでいても、ある意味爽快である(笑)

 ただしボリュームも少ないせいか、いささか説明不足なのも事実。特にマンデル・フレミングモデルの項で、「日本は変動相場制だから財政政策、公共投資はムダ」とさかんに指摘しているが、そもそもマンデル・フレミングモデルは

前提1:自国が小国
前提2:金融政策が中立
前提3:国際資本移動が自由
のもとで成立し、財政出動をすると、
所得増加→金利上昇→資本流入→為替レート上昇→純輸出減少となり、所得増加が相殺される

というものだが、日本の場合前提1と前提2が成立していない。
まず、日本の経済規模は大きすぎる。
次に、現在の金融政策は輸出ドライブがかかっていて異様に円安に振れており、中立とは言いがたい。
従って、上のシーケンスに書かれた「金利の上昇」と「為替の上昇」は起きない(上昇しそうになると政府が介入して下げる)、だから、輸出の不振による所得の低下を生み出さないのではないかと思います。

著者にしてみれば、この程度の反論など簡単に論破してしまいそうではあるが(そう信じたい)マンデル・フレミングモデルは万能である、といった誤解を生みかねない。

他にも、これはちょっと言いすぎだろ。と感じた部分も多々あるので★4つ

疑問もあるけど、勉強になる  (2008-09-05)
日銀がお金を供給したら、簡単にインフレ目標を達成して景気がよくなるというのは単純に考えすぎだろう。マンデル・フレミング・モデルにしても、実際は、財政政策をしても、特に景気がよくなったわけでもなく、金利も上昇してないのでは。複雑な経済をかなり単純化して語っていると思う。それ以外は、勉強になるところが多いのでよい本だと思う。

埋蔵金は必読、但し、(国際)金融に関しては間違いが多く残念  (2008-09-03)
ぜひご一読を勧めたい。

埋蔵金、財政、地方分権、公務員制度改革等に関しては、重要な事柄を実に簡単に面白く書けている。なるほどとうなずく部分が多い。

但し、国内金融や国際金融に関しては、間違いが多く残念。また、やたらと竹中を引き出すのも辟易した。このため、辛口の星2つとした。

たとえば、竹中と同様に、日本経済はインフレでなく、デフレと判断しているようだが。果たしてそうか。消費者物価はいまや前年同月比2%のインフレである。国内卸売物価は同6%も上昇している。日本はインフレと景気後退の併存というスタグフレーションの状態にあり、デフレではない。

また、マンデル・フレミング論を引き出して、変動相場制の下では、財政刺激効果は生まれないと決めつけているが、資本の完全移動が満たされないのであれば、財政効果は生まれる。また、財政刺激政策に金融緩和政策を組み合わせれば、極めてパワフルな需要刺激効果が生まれる。

竹中と同様に、日銀の前福井総裁の金利引き上げ政策を批判しているが、金利の正常化を狙った金融政策のどこに問題があるというのだろうか。現行の日銀の政策金利は名目0.5%に過ぎない。CPIが2%を上回って実質政策金利がマイナスという借り徳状態は危険である。

インフレターゲットの議論も表面的にすぎる。バーナンキFRB議長は住宅等資産バブルを無視して金融危機と大インフレを招いている。インフレターゲットと呪文を唱えれば済むというものではない。

以上のような批判は別として、埋蔵金や上げ潮の議論は大いに賛同する。読者は、金融と国際金融の部分は眉唾と読み飛ばして、財政や公務員改革等の部分を楽しんだらいかがだろうか。

700円と値段も手ごろだし、買い求めても損はないだろう。




今、読め!  (2008-09-03)
前のレビュアーも書いているように、2008年現在の今読むべき本である。

竹中平蔵氏のもと、小泉・安倍内閣をサポートした筆者の経歴を知らなければ
話はわかりずらいし、簡易的なインタビュー形式で時事的な問題が中心なので
数年後ではあまり面白くないかもしれない、というのがその理由だ。

反面、新書らしくわかりやすい平易な記述の上、内容は新聞などには書かれて
いない興味深い事柄が多い。

具体的に内容を紹介しよう。
・埋蔵金を見つけたのは著者(高橋)だが、名前をつけたのは与謝野研究会。
ネーミングされたのは最近である。数年前から著者が主張していたときはまっ
たく注目されなかった。しかし、効果のある「埋蔵金」というネーミングが
されてから一挙に注目が集まった。
世論に訴えるには、ある種のわかりやすさが必要だということがわかる。

・現在も日本はデフレから脱却できていないにもかかわらず、日銀は金融を緩めな
かった。なぜかというと、金融を緩めるためには国債を買うことが必要なのだが、
それは財務省の手助けだから日銀が嫌がった。
などという「あほか!」と言いたくなる話。

・民営化といっても、その種類は3つある。霞ヶ関文学では「完全民営化」と「完
全に民営化」では意味するところが天と地ほど違う。という話(詳しい説明は本書
を参照されたい)。
これは以前竹中氏が月刊誌で主張していたことだが、官僚の姑息な抵抗の様を多く
の人に知ってほしい。

道州制(それに伴う憲法改正)、小さな政府の話もでてくる。
「『埋蔵金論争』は、一時的な熱狂ではなく、国のあり方を問う、国家観をめぐる
争いなんですよ」という末尾の著者の言葉がとても印象的だった。

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