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橋本 忍

文藝春秋

グループ:Book

ランキング:85944

価格:¥ 2,100

ポイント:21 pt

発売日:2005-10-25

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カスタマーレビュー

黒澤の強さ、脚本家たちの才能  (2008-08-01)
“切腹”“日本のいちばん長い日”“砂の器”“八甲田山”“八つ墓村”−などなど、とにかく橋本忍さんの脚本はそのダイナミックかつ緻密な面白さで私たちを楽しませてくれました。 世界的に見ても、最高レベルの映画脚本家だと私は思います。 その輝かしい橋本さんのキャリアの中でも、やはりひときわすばらしかったのが、黒澤明監督との共作で、この本にはその出会いから別れまでの物語(と、呼んでいいでしょう)が述べられています。 この二人の出会いはやはり運命的なものだったのでしょう。

私は黒澤監督作品の大ファンなのですが、黒澤さんが一人で執筆した脚本をあまり面白いと思ったことがありません。 もっとも、彼が一人で書いていたのは最初期と最晩年で、全盛期の彼が一人でどのくらいのレベルのものを書けたのかはよく分からないのですが(全盛期の彼が一人で書いて他人が監督した作品が何本かありますが、あまり大した評判を聞きません)、ひょっとして黒澤さんは、脚本家としての自分の能力の限界を知っていたからこそ、複数のライターによる共同作戦を思いついたのではないかーとも、考えられます。 もしそうだとすれば、自分より能力のある同業者に助力を乞い、彼らと競争することによって、自分のポテンシャルを最大限に引き出すーそこにこそ黒澤明という作家の端倪すべからざる強さがあったのではないかーとも、思えるわけです。 これって、なかなか誰にでも出来ることではありません。 まあこれは私の勝手な推測なのですがー。
他にも、“七人の侍”以降の黒澤作品の低迷、“影武者”や“乱”は、何故あまり面白くないのかーといったことが、プロであり共作者でもあった橋本さんの鋭い観察眼によって述べられており、これは全てのクリエイター達にとって必読の書と言えるでしょう。

脚本の重要さを知るために  (2007-09-11)
橋本忍というシナリオライターのことは、黒澤明の映画だけでなく小林正樹の「切腹」や「上意討ち」でも目にしていて、いずれ詳しく知りたいと思っていたので、この本に出会えて本当によかった。いくつか教えてもらったことを羅列する。シナリオライターとしては、橋本忍が伊丹万作の唯一の弟子であった。「羅生門」は、橋本忍の処女作であった。黒澤明は頑固な人間であったが、一瞬の閃きを掴むためにはその頑固さをかなぐり捨ててめくるめく跳躍をする。「切腹」は、黒澤との共作になるはずだった「侍の一日」という未完作が形を変えてよみがえったものだった。「侍の一日」が葬られた理由は、江戸前期の武士の生活が日に二食であったか三食であったか資料で確かめられなかった結果であった。「侍の一日」の代わりとして考案されたのが「七人の侍」であった。「七人の侍」以降、黒澤はライター先行型の作り方から、共同脚本の方法へと転換した。その時に、橋本忍の代わりに黒澤の相棒になったのは菊島隆三や井出雅人らであった。そのほか、黒澤の映画について、シナリオの書き方について、野村芳太郎や森谷司郎について、「影武者」や「乱」について、なるほどと思わせる洞察が山ほどある。映画を深く味わいたい人、黒澤ファン、にとってはぜひ座右に置いておきたい本である。

夏がきて、秋が来る  (2007-06-27)
 黒澤作品の共作者の1人,そして、戦後屈指の名脚本家、橋本忍の独白が心に迫ります。
 サラリーマンから脚本家へと修行していく様、独特の作劇術、黒澤明との出会い、そして、別れ。黒澤明と脚本家達との、共同作業というよりも、決闘に近いような執筆。
 す、すごい!読んでいる私としては、驚嘆するしかない。黒澤作品とはこのような重圧のひとつひとつから出来上がっている。
  小国英雄(黒澤作品の最大の共作者)が著者に向かって発した「シナリオとは、冬があって、春が来て、夏が来て、秋が来る・・・こんな風に書くんだよ」シナリオライター志望としてはこの言葉、重く感じます。

 

シナリオ教室の先生から絶対に読めと言われました。  (2007-06-06)
 内容もさることながら、この本に巻かれた帯のコピーがとてもいいのです。
 「なぜだ、なぜ出来ないんだ!俺は二ヶ月も待ってたんだぞ!」
 この言葉に、苦闘している橋本先生の顔写真がシンクロして、最高の表紙に仕上がってます。

 拝読された後に必ず「羅生門」「生きる」「七人の侍」を鑑賞したくなるので、予めDVDを用意しておいた方がいいかもしれません。

 これは、テレビで育った現代人の悪い癖だとお叱りを受けそうですが、DVDには日本語字幕設定があるので、映画は、台詞を字幕スーパーで追いながら観賞されると、脚本の奥深さをさらに堪能できるかと思います。

 黒澤一家は、全員が呑みながら脚本作りをされていたのかと思っていましたが、橋本先生だけは違っていたことに、気持ちが穏やかになりました。
 今の映画制作者たちが、そこんとこばかり真似をして、制作費の半分を呑み代に費やし、駄作ばかり作っていく現状に、私は苛立ちを感じています。
 黒澤の真似するなら、この本読んで、もっと他の所を真似しなさいよ!と言ってやりたいです。

 面白い映画って何なの?という素朴な質問に的確な答えを出している本ではないかと思いました。

創造する全ての人に勧める  (2006-12-03)
とても面白い。時間を費やす価値のある本。創造的な仕事の現場があからさまになることは少ない。創造的な仕事の現場にいた物だけが知りうる示唆に富んでいる。そして成功体験から抜け出すことの難しさ、あえてそれに挑み挫折しながらももがいていく姿が描かれる。黒澤への鎮魂歌は同時に全ての創造家への鎮魂歌であろう。頂点を極めた物のみが見ることができる世界とそれを経験したチームの眼を知ることができる貴重な読書体験を与えてくれる一冊である。

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