アイテム詳細
早川書房
グループ:Book
ランキング:303819
価格:¥ 1,680
ポイント:16 pt
発売日:2007-02-23
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天啓か恋か
(2007-07-12)
うつろな表情で独り言をつぶやきながら街をさまよう看守のアティクは、夫を殺したとして逮捕され拘置所に送られた女性を見て心を奪われてしまう。家に帰っても彼は興奮し放心状態であった。
これは恋なのだろう。だが、ほとんど天からの啓示のようである。まるでオルレアンの少女がフランスを救うために立ち上がった時のようだ。問題は〈システム〉が不動であるということだ。アティクの〈乱心〉は哀しいことに狂った〈システム〉の徒花に過ぎなかった。だとすると希望は姿を消した女神にあることになるのだろうか?
最後まで暑苦しさに息がつまりそうな小説だ。それがカブールで生きることなのだろう。どん詰まりの息苦しさの中で人間はどうやって生きていこうとするか。男女の機微をからませながらそれを描きぬく筆致は見事。
僕らの街がこうならないことを祈りたいが…。
厳しい状況だけの話ではない
(2007-05-11)
タリバンの原理主義的支配下にあった時代のアフガニスタンの首都を舞台に、公開処刑される囚人の拘置所の看守アティクと病身の妻ムサラト、かつてはともに自由主義的な開放に希望を抱いて行動し、今は零落した元エリート、モフセンとズナイラの夫婦が織り成す物語。
原理主義によって荒廃した状況を取り上げながら、男と女という問題を入れ込んだ点が印象に残ります。二組の夫婦ともに、すさんだ夫と達観した妻、厳しい状況の中でも女への甘えを捨てられない男。甘えてくるモフセンをズナイラは突き放し、打ちどころの悪かったモフセンは死に、ズナイラは夫殺しとしてアティクの働く拘置所に死刑囚として収監される。そしてアティクはズナイラに恋してしまい、彼女の無実を妄信して救い出そうとし、妻にまでその苦悩を吐露してしまう。
遠くない死を予感するムサラトは、タリバン支配下で無気力になっていた夫に、あなたは久しぶりに輝いている、あなたは恋をしていると言う。この辺り、厳しい状況を取り上げる男性作家としては、男女のことが分かっているなあ、こういうところがきちんと押さえられている小説でよかったなあ、と楽しくなりました。
一読をすすめます
(2007-04-23)
映画「アフガン零年」の感動を受けて、手にしたが予想を裏切られなかった。
ラストの展開がやや粗削りなのと、全体的に通俗小説っぽいのが残念だが、
日本人には想像しにくいアフガン現地の人々の息遣いを伝えるという点ではぴか一の小説、ぜひ一読をすすめたい。

