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東京大学出版会
グループ:Book
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価格:¥ 3,780
ポイント:37 pt
発売日:2006-06
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カスタマーレビュー ![]()
うーん・・・
(2007-12-23)
判例を正確に把握できると期待して最初に買った基本書です。
当初は「前田先生のおっしゃることはもっともだ!」と思っていたのですが
勉強が進むにつれて他説の紹介がアンフェアな点や、
接見交通権がらみの判例について捜査側に引き寄せすぎな点などが
気になるようになり松尾先生の本に切り替えました。
捜査実務(判例ではない)の考え方を学ぶのには有益でしょう。
ただ、白取先生の本とかで中和する必要があると思います。
真のバランスと現実論
(2007-12-10)
本書は国家的視点を強調しており,学者・弁護士には本書に批判的な意見があろうとの指摘がありました。
しかしながら,実際の刑事裁判,ことに否認事件における弁護人の活動や主張内容を見るにつけ,あるいは多くの学者の議論を見るにつけ,これら学者や弁護士の議論こそ妥当性を欠くものと思えてなりません。
本書が国家的視点に立っているというよりも,従来の学者や弁護士の見解が,被疑者・被告人の利益に傾きすぎていたというのが正しい理解であると考えます。
また,人権と真実発見のバランスが建前であるとの指摘もありました。
しかしながら,これを建前で用いているとの批判が妥当するのは,本書よりもむしろ学者や人権派の弁護士が従来行ってきた,被疑者・被告人の利益をことさら強調する議論ではないでしょうか。
さらに,実務とは弁護士の意見も取り入れたものであるはずとの指摘もありました。
しかしながら,実際の刑事事件,特に否認事件における弁護人の活動や主張のレベルを見ると,真実など度外視しており,単に被疑者や被告人が助かればそれでよいとの考えが伺われます。
また,挙証責任をあまりにも軽視した彼らの議論には説得力がありません。
こうした弁護士の議論を取り入れるべきであるとの趣旨であれば,それには到底賛同することができません。
法曹三者の中で弁護士を目指している人が多いと思うのであれば,むしろ従来の弁護士が是としてきた発想を転換させ,真のバランスを持った視点にたつことが大切でしょう。
果たして現状で被疑者・被告人の権利の保障は万全なのかという視点は大切ですが,もっとも重視されねばならないのは,被害者の利益も含めたバランスであるはずです。
“人権擁護重視”は決して机上の空論ではなく現実であり実践であるべきで,その人権の中には,犯罪被害にあった多くの被害者やその遺族も当然含まれるはずです。
裁判官・検察官は国民や上司の要望に応えるため強力な権限をもって真実発見に傾斜することは避けられないという発想に,いったいどれだけの根拠があるでしょうか。
これこそまさに,従来の学者へ人権派の弁護士が主張してきたことであり,この発想に立って本書を読む態度こそ中立的ではありません。
もう少し現実の刑事事件に接し,従来の学者や人権派弁護士の活動や主張に接して,正しいバランスというものを真剣に考えることが必要です。
そうでないと机上の理想論に陥るおそれがありますが,そうしたおそれを払拭する上でも,本書で学習することには大きな価値があるものと感じました。
すっきりしているが、淡白すぎるか
(2007-03-19)
・判例の見解にほぼ忠実であるとして、大きな脚光を浴びている刑事訴訟法のテキスト。
また、東京大学出版会の他の本の類に漏れず、レイアウトもすっきりしていて非常に
読みやすい。ただ、情報整理以外に関しては、いいところばかりではありません。
・まず、初学者にお勧めできるかというと、人によりますが、少なくともスタンダードとは
現時点ではいえません。講義を受けながらの教科書として使用を考えている学生は、
講義を担当する教授の意向を確認することが必須です。記述が簡潔に過ぎるため、
今までの学説の積み重ねを軽視するような部分があり、本書に違和感を持っている
先生は多いはずです。また、百選にあるような論点でも省略されているものが
散見されるので、試験対策としても十分かどうかは疑問です。
・次に、「人権と真実発見のバランス」ということを序盤で宣言されていますが、
どのくらい本気で言っているのかは疑問です。「バランスを重視する」と宣言しても、
法律関係者なら当然のことをいっているにすぎません。現に、今まで強力に主張されてきた
反対説の主張にはほとんど触れることなく、判例の紹介,引用に終始する全体の叙述からは、
多様な価値の利益調整の跡はあまり見受けられません。
・さらに、「本書で実務の感覚が身につく」という評価も、全面的には賛同しかねます。
ある他の基本書にも書いてありますが、“実務”とは裁判官、検察官、弁護士の法曹三者の
活動をひっくるめて“実務”というべきです。判例を追うことばかりを実務と呼ぶのは
(慣用にはなっていますが)好ましいとは言えないように思います。
読者の中には法曹三者の中で弁護士を目指している人が多いと思われます。
そうであるならば、「はたして現状で、被疑者・被告人の権利の保障は万全なのか?」
ということは、かなり実践的かつ中核にすえなければならない視点というべきでしょう。
いってしまえば、本書の著者のお一人が現役の裁判官である以上、現状に批判的な分析は
ほとんど期待できません。そういう意味では、裁判官と学者に生え抜きの弁護士さんも
加えるくらいのことをしなければ実務の全容は描けないと思います。
・悪くばかり言いましたが、判例や手続の整理はわかりやすいので、役に立つ本では
あると思います。ただ、これだけの先生がお書きになるなら、制度趣旨や判例理論の
正当性に関して、もっともっと理論的な裏づけが厚くなされることを期待したいです。
キレがある。
(2007-01-07)
・文章が、平明でもないのに読みやすい。駄文がなくて、ビジュアル化が進んでいるからか。
・実務の感覚が他の本よりはるかに濃厚。学説・論点の多い田口先生の本もたしかに
いいかもしれないが、一長一短。
・記述が他の本よりかなり薄い部分、厚い部分がある。
・訴訟手続き的な部分の記述が一味違う。
実務家の感覚を身に付けたい人にはいい。学者本が好きな人にとっては仇敵かも。
ただ、人権を守るべきところはかなり守ってる。そういうメリハリもリアル。
「実務家のための快い子守唄」を聞けい!!
(2006-11-07)
現在、有名どころと言われている概説書を読み慣れた者にとってはかなり衝撃的な内容だろう。例えば、代用監獄の存在について必ずしも否定的に捉えてはいないし、自白の補強証拠に関しては実質説・相対説をとっている。逮捕状の執行の際、「場合によっては、拳銃を相手の足や腕に撃って逮捕することも許容される」なんて、物騒な事も書かれている。判例も多数引用されているが、判例の採った結論を明確に批判している所は一つも無い。これは本書が「現在実務において妥当している刑事訴訟法の解釈をできる限り分かりやすく講ずる」という目的で書かれている以上、当然であろう。
もちろん、だからといって本書が人権保障を軽視しているわけではない。序盤の方で盛んに強調されているのは、バランス感覚を持つこと。職権主義と当事者主義、どちらを採るべきかを一方的に決めるのではなく、真実の発見と適正手続きの保証の調和点を具体的な事案ごとに決定していくべきだと主張している。
この点、学者の書いた教科書では、どうしても人権保障に傾きがちであるが、本書では「刑事訴訟法が目標とするのは、被疑者・被告人のみでなく犯罪の被害に遭った者を含めた国民全体の利益を最も大きなものにする点にある」としてそれを戒めている。特に身柄拘束中の被疑者の取り調べ受忍義務を否定する見解に対しては、非常に厳しい調子で非難をされており、こういった実務とかけ離れた見解を採る教科書が世間に幅をきかせている現状に対する「怒り」が、本来それぞれ学者・専門分野ではない二人の著者に本書を執筆させる原動力となったのでは、とも推測される。
少し論点となる部分の結論やそれに対する理由付けが簡潔すぎたり、見解の統一性がとれていない部分も見受けられるが、2色刷りで記述も読みやすく書かれているので、初めて刑訴法を学ぶ人にもお薦めである。本書を読めば判例の結論が必ずしも不当でないことが分かることだろう。

