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中央公論新社
グループ:Book
ランキング:166665
価格:¥ 1,000
ポイント:10 pt
発売日:2008-02
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カスタマーレビュー ![]()
大人の遊びを垣間見る、主人公の成長譚
(2008-08-14)
他の西鶴作品は研究者が訳したものを読んだのだが、この作品だけはこの訳者で読むべきだろうと思った。訳文はこなれていて、注釈も少なく読みやすい。さらに本文と同じぐらいの訳者覚書の長さも気に入った。
タイトルから、もっと艶っぽいシーンが多い内容かと思っていたのだが、そうではなかった。早熟な主人公世之介の成長の物語であった。
印象的なのは女の心根の色々あることと、その矜持だ。はしたなく意地汚く金に執着する女郎があると思えば、一流の太夫や普通の女性でありながら凛とした姿もあって世之介ならずともハッとしてしまう。
お大尽の頃の遊びで、太鼓持ちを集めて郭に上がり、二階の窓から謎かけよろしく駄洒落の振りになる品物を差し出すと、周りの郭の窓からそれを受けて品物や動作が次々と繰り出され、あたりの店の女や客が表に出てそれを眺めてやんやの喝采を送るシーンがあった。粋な旦那と太鼓持ちによる教養とウイットの応酬は大人の遊び、お金を消費するだけではなく智恵を消費する遊びという感じだ。
自由奔放な現代訳
(2008-07-14)
「俳文」と称されるくらい恣意的に読める独特の文体の「一代男」。それゆえ、読みさすさを取った吉行訳は通説に反した独自の解釈を試みたところが多々ある。訳者は沢山そのあたりのコメントを残しているが、これが実に直感的かつ適当な解釈を語ることも少なくない。そのあたりの適当さが気になる人、キチっとお勉強として読みたい人は岩波版を読むのが良いだろう。(ただ、女ばかりの島を探して船を漕ぎ出す有名なラスト・シーンを、自殺・死出の旅と読み替えた発想はそれなりの説得力もあって面白いと思う。)
内容的には当時世界的に見ても艶熟していた遊郭文化の粋と放蕩が描かれており、あっさり生まれた子供を捨てたり、身請けした太夫の自殺なんかも描かれるなど、それなりに残酷なエピソードも含まれる。が、この艶本は本来「読み飛ばす」性格のものなので、余り細部に目くじらを立ててはいけないだろう。(前後の筋書が矛盾してるところとかも結構ある。)
太夫の心遣いの細やかさを褒めた後、必ずあっちの方も素晴らしいことを書き足すところとか、カネを使い果たして諸国流浪の身になり、インチキ神職や旅の坊主、魚売りになっても遊びへの執念を忘れない主人公の姿など、馬鹿馬鹿しくて今でも十分に笑える。昔も今も下ネタは大衆の心を掴むんですなあ。

