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大野 晋

中央公論新社

グループ:Book

ランキング:136752

価格:¥ 960

発売日:2002-04

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カスタマーレビュー

言語学の範囲を超えて  (2008-09-15)
本書を読むと、日本語の成立でなく、日本文化の成立について学んだ気になる。言語学がどの範囲までをカバーするのか知らないが、言語学からの視点に重きを置いた、日本文化成立史と捉えた方がいいのではないかと思える。

本書は、ニューギニア神話と瓜子姫の話の共通点などから、日本のイモ文化に言及するが、日本史に関する多くの著作は稲作が始まるまでを狩猟採集文明とひと括りにしてしまうことが多く、この時代から扱っているものは少ないと思う。

民俗学や考古学の成果も取り入れて日本語の成立過程・変遷を明らかにし、さらに日本文化の新たな視点も示す好著である。

日本語成立の過程が鮮明に  (2007-03-04)
「タミル語=日本語起源」説を唱える著者が、日本語の成立過程を、第1次のタロイモ栽培期、第2次のタミル語伝来期、第3次の朝鮮半島からの外来語伝来期に分けて考証を加え、更に藤原定家による仮名遣いの確定までを綴った力作。

第1次では、ニューギニヤに伝わる神話も加え、日本の神話を考証し、"食"と言葉の関連性に着目する。そして、縄文期のタロイモ栽培期に日本語のベースが出来たとする。第2次は著者の持論であるタミル語伝来の話で、いつもの通りタミル語と日本語の関連性を強調するが、特に稲作関係の言葉の関連性の強さには改めて驚かされる。「タミル語の伝来=稲作技術の開始=弥生時代の始まり」という図式が自然に浮かび上がってくる。

感心したのは第3次で、著者の持論とは離れている筈の朝鮮半島からの外来語の影響をキチンと認めている態度は潔いと思った。これ以降に起きる大きな事件は、勿論"漢字"の伝来である。日本人がこれに工夫を加え、仮名を発明した経緯が詳細に語られる。そして、この仮名文化が果たした役割が「源氏物語」を中心に評価される。最後に、藤原定家が控えめに提案した仮名遣い案が、最終的に日本語の仮名遣い方法を決定した事が述べられる。改めて定家を見直した。紫式部と定家とで、シェークスピアの役割を果たした訳だ。

自説の「タミル語=日本語起源」説に拘りながらも、日本語の成立過程を鮮やかに描き出した良心的学究本。

功名一時の日下  (2006-12-25)
友人に「太郎」という名はタロイモが由来だと話していたけれど、説得する根拠がなかった。
大野先生の妹の話で自信をつけました。
逆に草薙の剣はちょっと残念。 名の由来は「くさか」(日下 or 草香)を平らげた剣だと思ってましたから。
日本語の先祖捜しが難しいのは、太安万侶が古事記に書いてあるように、先祖のポリネシア語との明らかな断層です。
でもこの本のお陰でなんとか先が見えてきました。
4世紀後半朝鮮半島に住んでいたヤマト人が本土に難民として流入してきたとき、ポリネシア語との合成でできた彼らの言葉が表現力豊かだったので本土の言葉を凌駕してしまったという仮説を立てれば、クリアできそうです。 負戦だったので記録はありませんが。
以前読んだジャレドダイヤモンドの「Collapse」に古代の天皇制とかヤマトの由来らしい話が載っていて(p109)驚いたのですが、ポリネシア語は文字のない言語で変遷が激しく比較はできないようです。 朝鮮語との比較も朝鮮語の文書自体が15世紀までなく絶望です。
本書後半の日本語の形成過程は読み応えがありました。
それにしても私が40年前日本史で聞いた草香城に立て籠って奮戦した人たちは誰か、それが未だに判らないなんて。 弥生式土器は縄文式土器が進化した物だと専門家は考えているらしいですが、素人の目が見れば馬鹿な考えです。 多分草香城に立て籠っていたのは私の先祖であり、そのまた先祖は赤い土器を持って来たラピタの民だったら、ロマンですね。

Collapse: How Societies Choose to Fail or Succeed

日本語は日本の文化・歴史であり、何より日本人そのものだ  (2005-05-09)
 
 「言語は人間と共にあり、文化と共にあり、むしろ文化それ自体である。それは歴史そのものであると言ってもよいほど時間的存在であり、未来を目指してはたらく人間の営為である。」

 あとがきから長々と引用させていただいたのは、大野氏の精神がまさにこの言葉に凝縮されていると感じたからだ。この本がユニークなのは、世界中の神話学や考古学、歴史学などさまざまな学問と関連づけて日本語を論じているからであり、それらの関係をひもといてゆく過程に妙味がある。

 おかげで私は日本語だけでなくアジアを中心とした世界の文化、歴史、文芸までも勉強させていただいた。実に興味深い本である。

 そして太古から多くの人々が膨大な時間と労力を費やして作り上げた日本語の尊さを再確認することができた。

大野晋日本語学と大野晋民俗学の総括本  (2004-09-01)
レビュータイトルどおりの内容です。

大野晋博士の著作「係り結びの研究」「日本語の形成」などに示される日本語学の成果と、民俗学的視点・古代史学視点とを加えて日本語成立の歴史に肉迫した力作本です。博士著の文庫本では、1番の分厚さを誇ります。

日本語学から、古代歴史・古事記世界・民俗学に脱線した方には、特におもしろく、お奨めの1冊です。多面的視点から日本語学への造詣が深まり、大野晋ファンになってしまうでしょう。

また本書は、日本語学的視点から古事記偽書説を完全粉砕し、古事記ファンには痛快でしょう。博士著作の他の本もお奨めおすすめです。

以上

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