アイテム詳細
新潮社
グループ:Book
ランキング:20821
価格:¥ 860
発売日:2001-09
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カスタマーレビュー ![]()
非常に重たい問題
(2008-07-03)
高齢化社会を迎えた日本。平均寿命は男性で79歳、女性では85歳を超える超長寿の国です。これは平均寿命なので幼年期や青年期に死亡した人達をカウントしたものですから、実際にはもっともっと長生きしているということになります。かつては人生50年と言われたように人工的な手当を受けずに自然の状態での人間の寿命は50年程度で、残りの30年近くは人工的に生かされているというのが本当かもしれません。人生50年時代には長寿を祈り求めた人間ですが、人生80年時代になってもより長寿を祈るものなのでしょうか?
耳が遠くなり、目が見えなくなり、自力で歩くこともままならなくなっても長生きを望むのでしょうか?体中にチューブを取り付け、排便も手伝ってもらいながらそれでも生きたいと思うしょうか?これは非常に重要な問題だと思います。安楽死を施すことが殺人行為であるのなら、人間の尊厳を無視して無駄に長生きをさせる行為もある意味で罪な行為と言えないでしょうか?わたし自身がそのような立場になったときには安楽死を望むと思います。しかし私の子供たちが不幸にも植物人間状態になったときはきっと延命措置を施してもらうよう懇願するかもしれません。この問題は人によって大きく考え方の違う問題だと思います。しかし近い将来必ず我々がその当事者になる問題です。人間にとって生きるということはどういうことなのか?与えられた寿命を全うするとはどのようなことを言うのか?その答えは誰が知っているのでしょうか?非常に考えさせられる一冊でした。
だれがだれだか・・・
(2007-07-15)
物語の最初のほうで登場人物紹介し、メインの物語の中では苗字だけで呼ばれているので読んでるうちに誰が誰だかわからなくなりました。
(読み返せばいいのかもしれませんが)
そういう意味ではじっくり読むべき作品なのかもしれません。
私は一気に読んでいく派なので正直この本は合いませんでした。
あと、終始ですます調が個人的に読みづらく、最後がしりきれとんぼ的に思えるところもマイナスでした。
一気に読めます。
(2007-06-03)
一気に読めました。おもしろかったです。ミステリーというカテゴリーだったので、難しい内容なのかなと思ったけれど、とても読みやすかったです。様々な人間模様が事細かに書かれていて、本の中にいつのまにか吸い込まれていました。老人(痴呆症患者)が多く出てくるが、それぞれの生い立ちにとても胸を打たれた。わたし自身回りの老人に対して、もっと親切に優しさをもって接したいと素直に感じました。
認知症の父と重ねあわせて。。
(2007-02-15)
一時期帚木 蓬生氏の小説ばかり漁って読んでいた時期があったが、久しぶりに氏の小説を読んだ。ア−、うまいなあ。実に構成といい、文章といい、うまいです。
ラスト近くで、これは手紙だったのだと判るのですが、認知病棟に勤務する看護士さんの優しい語り口が実にいいのです。
安楽死を問う小説ではあるのですが、途中途中の介護の情景、介護士・看護士さんの日々奮闘ぶり、そのすべてが認知症になってしまった自分の父親の姿と重ね合わせて、涙ながらに読みました。100人の認知症患者がいれば100人百色の症状があると知って、愕然ともしました。そして、認知症はまず”ありがとう”という言葉から奪っていく。。。まさにその通りです。”ケアするということは自分がケアされるということ”。いい言葉ですね。
私にとっては、安楽死が生か非かの前に、認知症を学ぶことの出来るバイブルにもなりました。
人間の尊厳を問う重厚な作品
(2006-04-07)
「安楽死」の対象となりうるのは何も植物状態患者や致死病の末期患者だけではありません。死には至らずとも慢性的で不可逆的な苦痛に苛まれる人や、全身麻痺状態に陥り途方もない精神的苦痛を味わわされる人の中にも安楽死を望む方はいますし、障害を持って生まれた新生児が安楽死に処されることもあります。
しかしもっとも厄介な問題は痴呆老人でしょう。
安楽死が主張されるのは「或る状態は人間が人間として生きるに値しない、生命それ自体に内在的な価値があるわけではない」という考え方が背景にあるからです。安楽死の是非を巡る論点は(1)「生きるに値しない状態」なるものが本当にあるのか(2)「生きるに値しない状態」があるとして、それにはどんなものが含まれるのかということになるでしょう。この作品は、個人的には後者を軸にしたものであると思われます。
或る状態が「生きるに値しない」のは、それが人間の本質、人間を人間たらしめているもの、が、永遠に損なわれてしまった状態であるからです。すなわち安楽死問題はそのまま「人間とは何か」という問いに結合することになります。では痴呆患者(合理性、判断力、自己認識能力などが失われた状態にある者)は人間性を欠いているのでしょうか。この作品はこうした事柄を考えるにあたって有益な視点を与えてくれます。
色々なところで「人生・生活の質」が問題となっている現在、こうした作品を読んで考えるための素養を養っておくことも必要かと思われます。ただし小説をあまり読みなれていない方には少々疲労するかもしれませんね。

