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井上 ひさし

新潮社

グループ:Book

ランキング:90602

価格:¥ 340

発売日:2001-01

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カスタマーレビュー

明るく、静かに深い悲しみ  (2008-05-29)
原爆の記憶を持つ親子の、というよりは
人類愛の戯曲といったほうがいいかもしれない。
もはや人間の力をはるかに超えた原子爆弾という
圧倒的な暴力は、人間を人間でなくする力を持っていた。
その忘れたい記憶を、必死に乗り越えよう、そして
悲しみを超えた体験を次の世代に引きついでいこうと闘う
人間としての生き方。
久しぶりに、泣いた。
こんなに短い文章で、しかもこんなに
明るくリアルにヒロシマが描けるなんて。

原爆といえば、小学校の修学旅行で行った
原爆ドームを思い出す。
たしかに、日本にしかない原爆体験は貴重なものだ。
もう一度、原爆ドームを訪れたくなる。

読み終わって、憲法9条の有難さにふるえた。

あの人、うちのおる窓口へきてくれんかな、  (2007-09-02)
 人間の存在全体に落とされたものだと考える…と作者が前口上で書いている「原子爆弾」
 その下で起きた悲劇を三年後の生き残った女性の日常生活に織り込んで脚本にしたものです。
 亡くなった父が幽霊となって娘と暮らしているという設定の舞台で、会話の中に原爆の姿やそれによって引き起こされたたくさんの街の人たちの死が語られます。
 ひとり生き残った娘の恋心に「応援団」として表れた父。
 愛情のこもった会話がとても心に残る作品です。

原爆と戦争と恋愛と父娘(おやこ)−生きることへの応援歌  (2006-07-24)
 実は高校の教科書で知った作品である。夏休みで生徒が読める作品ということで取り上げられたものだった。思いの外反響は強かった。「方言が面白い」「実は父親が最初生きていると思った」「昔の女性はずいぶん遠慮しいーなんやなあ」という所から、「娘の幸せを願うのは生きている者でも死んでいる者でも変わらない」「生き残っているからこそ幸せになってほしいとあの世から思うのは当たり前」「父親への思いが溢れていて、親のあり難さを感じた」という感想へ変化し、そしてその平凡な幸せを奪ったのが戦争であり、原爆だったということに関しては最後にたどり着いたのを覚えている。
 恋愛を手助けする背景にいる父親が生身であれば、今時の若者からの反発も強かったのかもしれないが、原爆で命を落とした父親の切なる願いと希望という設定は、すんなり受け入れられたようだった。
 映画を見る前に、イメージを喚起するため、この短い作品を一読してから映像に入って欲しいと思う。

広島で生き残るとは・・・  (2005-12-04)
広島に原爆を落とした国がある。
落とされた国がある。
死ぬのが普通。
「生き残った者はどうすべきだったのか」

井上ひさしはこの状況をどこから切り取ったのか。
生き残った者の立場に焦点をあわせた。
さすが、井上ひさしである。

「幸せをもとめてもいいのだ。」

被爆者で生き残り、語ってくださる人たちは、少なくなっている。
私たちの周りから、「被爆」から人生が変わってしまった人たちが、どんどん少なくなっている。
この現実を抑えながら、「頑張って」この作品を読み切ろう。

私たちの課題は明確である。
こんな事態を 再度 おこしてはならない。
映画化された『父と暮らせば』を観ること。監督は黒木和雄。
DVDで購入可能。宮沢りえと原田芳雄がいい演技しているのだ。

名作。舞台脚本。

広島弁で書かれた原爆の本  (2005-11-30)
 広島弁で書かれた原爆の本。

 故郷のことばの不思議な魅力、説得力と、ストーリー自体のせつなさに何回も泣きそうになりました。

 原爆投下直後の広島で、家の下敷きになった父を助け出そうとする娘、そして自分を助けようとするその努力そのものが、娘を炎の中で死なせてしまうという懸念から娘にその場を立ち去れと叫ぶ父。。。

 井上ひさしは、こういうことが繰り返されてはいけないという思いから、「あんなむごい別れがまこと何万もあったちゅうことを覚えてもろうために生かされとるんじゃ」と幽霊になって登場する父に娘に向かった言わせたということのようだ。

 それだけではない。

 父をそういうかたちで失って「自分は幸せになってはいけない」と思う娘が恋におちる。その娘の中に「でも幸せになりたい」という気持ちが生まれる。この戯曲では、その娘自身の気持ちを「娘の恋を応援する幽霊になった父」と登場させて気持ちを代弁している。

 「原爆の悲惨な経験は語り継がれるべきだ」ということは簡単だが、この本を読んで、最近そういう使命感で被爆体験を語り継いでいる多くの被爆者の人たちは、「できれば忘れてしまいたい」体験を「でも伝えなければ」と思うようになるまでに、実に多くの葛藤を経てこられたのだろうなと思いました。

 最後は、死者は生きているものの幸せを願っているというメッセージを父からもらったと確信し、迷いなく好きになった人との結婚を決意する娘の潔さに、心地よい読後感と元気をもらいました。

 広島弁がちーとむずかしいかも知れんが、だまされたー思ぉーて、まぁ、いっぺん読んでみんさい。

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