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西原 理恵子

小学館

グループ:Book

ランキング:-

価格:¥ 550

発売日:2003-04

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レビュー(Amazon.co.jp)

 「ぼくのすんでいるところは―/山と海しかない しずかな町で―/はしに行くとどんどん貧乏になる。/そのいちばん はしっこが/ぼくの家だ―」。腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。

   神子ねえちゃんは言う。「泣いたらハラがふくれるかあ。泣いてるヒマがあったら、笑ええ!!」。ヤク中の父を亡くしたばかりの少女は、うまく泣くことさえできずに、不思議そうにこう言う。「息するたびにな、ノドの奥に小石みたいのがたまるんよ。食い物の味わからへん」。むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。

   映画化(2003年)にあわせて、オールカラー全3巻だったものを白黒の普及版として1冊にまとめたもの。見開き2ページのショートストーリー114話で構成。巻頭には、描きおろしのカラー漫画が4ページ収録されている。日々の出来事を2ページで描きつつ、一太が家を出るあたりからは全体を通して話に流れが出てくる。彼らはいつも、あきらめたような、悲しいような笑みを顔に貼り付けて、痛いほどにただただ求めている。自分の家で、家族そろって暮らすことを。ともに食卓を囲むことを。ラストシーンで二太が見せる笑顔は、痛ましさと同時に少しの希望を感じさせ、いつまでも胸に残る。(門倉紫麻)

カスタマーレビュー

すき。  (2008-09-02)
 生きているのがいやにならないのかってぐらいどん底の生活の中、必死に必死に生きてゆく。意図せずに。絶望的なほどの貧困街で、一太と二太は生きていた。そこに加わるかの子ねえちゃん、そして多くの人間たち。
 リアリティがありすぎて、何処かゾッとし、それでいて胸の奥がぎゅうと締めつけられる。
 かの子ねえちゃんは言った、「幸せになりたいだけなのに」。そう、みんな、幸せになりたいがために生きているだけなのに、どうしてこんなに傷ついてしまうのだろう。傍目からは不幸に見えても、幸福なときもある。傍目からは幸福に見えても、不幸なときもある。
 彼等はどっちだったのだろう。
 彼等は、幸せだったのだろうか。

あどけない画風とシニカルな視点の“絶妙”なミスマッチ!おすすめ!  (2008-04-29)
児童図書と見間違うほどあどけなく“カワイイ”画風…しかして、その中身は、いわゆる“良識ある人々”が思わず目を背けるアングラで、いわゆる“イタイ”世界をシニカルかつニヒリスティックかつ攻撃的にサクッと描いた悲喜劇(ギャグ)の傑作!!しかも、涙脆い輩は何度かホロリとするだろう…。但し、惜しいのは、廉価版とはいえ、オールカラーにして欲しかった…。△この作品が文科省や教育委員会の推奨図書にでもなれば、この国の教育も希望が持てるのに…(極論だと自覚してますです、ハイ。でも、藤岡某氏の“教科書で教えない…”よりは百倍マシだろ?)△あとアニメ化しないかな?

オールカラー全3巻を買ったほうが良いです。  (2008-04-25)
西原の金字塔。最高傑作。
人間はどんな状況に置かれても、自殺しないで笑って生きろ!というメッセージを西原風味で伝わった。
そして彼女は東京では想像できない環境で育ったことを知って、その生育期が作風に現れているんだなぁ。こりゃ、くらたまは追いつかないわ。笑

これを読んでから、オールカラー3巻を白黒で一冊にまとめたものと最後のページで知った。
これは元々のカラー3巻で読むべきだ。そして家族の愛蔵本としたい。

怒りなのだ  (2008-03-19)
確信した。これは作者の「怒り」である。
「ぼくんち」「パーマネント野ばら」「朝日の当たる家」「うつくしいのはら」と読み次いで一連の作品の中にある「怒り」を感じる。

「そこ」に生まれたというだけで、貧困と差別と暴力の中で生きていかなければならない不条理を背負う人々。
小さな幸福とささやかな希望さえも簡単に「そこ」に踏みにじられてゆく宿命を背負う人々。
そして決して「そこ」から抜け出せないであろうと思わせる負の連鎖・・・

しかしこれだけで終わらせないのがサイバラ。
柔らかなタッチと鮮やかな色彩で描かれた優しい優しい表情の登場人物でありながら、
次々と繰り出される卑猥で刺激的なセリフと真っ黒な画用紙の上に真っ白なインクを一粒落とした様な言葉の数々。
状況が悲惨であればあるほど、卑猥なセリフが直接的であればあるほどより光り輝く美しい言葉・・・
これほど汚く美しい物語があっただろうか。

どうしようもない「社会」が存在するという現実をサイバラは知っているのだ。
そして、どうしようも出来ない「社会」が存在するという現実をサイバラは知っているのだ。そんなジレンマがサイバラの手にかかればこのような作品に仕上がって行く。

ありきたりな言葉だがやはり、サイバラは超一流の「表現者」なのだろう。

もったいない!  (2008-02-13)
西原作品の中でも一、ニを争う名作。

ささやかな幸せと、それすらままならない残酷な世界を正面から描いています。

それでいて重い作品にならないのは、あくまで可愛らしいキャラクター群と、
一太、ニ太、神子達が自分の人生を受け入れて生きている姿が潔いからでしょうか。

ため息しか出ないような心持の時に読むと、じんわり沁みてくるものがあります。


・・・ですが、白黒での出版はもったいなさ過ぎ。

美大時代に「空気」が描けず、「お芸術」に挫折した西原ですが、
今では現役漫画家で最も「空気」を描くのがうまい部類の作家だと思います。

しかし、それも一重に、ベストパートナー「アシスタントの愛ちゃん」の彩色あってこそ。

白黒でも名作であることに変わりは無いのですが、
やはり、オールカラーのオリジナル版で読んでほしい漫画です。

星3つなのは、あくまで、「オリジナルと比べたら」。
平均点と言う意味での星3つではありません。

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