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青木 秀和

集英社

グループ:Book

ランキング:47384

価格:¥ 756

ポイント:7 pt

発売日:2008-04-17

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カスタマーレビュー

漠然とした不安 その不安を少し形にできる・・・ か?  (2008-07-05)
軽い気持ちで読み始めた。でも、重い本だった。
私たちの貯蓄が金融経済と公的債務によって危険にさらされていることが、まず重いテーマであった。国債を「借金証文」とする、本質を突いた記述に目から鱗が落ちた。でも、さらにその議論は進む。
通貨の兌換制の放棄と負債の増大、化石燃料への依存と枯渇、資金循環と資源循環との矛盾。
様々な問題に飛びながら、「貨幣」の意味がどのように変わりそれがどのような問題を生んできたかを記述する。
かなりマクロな話の展開の中で、今日的な話題と普遍的な話題が論じられている。
最後には、エンデやゴアまで登場している。 一見複雑そうに見えて、漠然とした「貨幣不振」を抱いている人にとっては興味を持って読めるのではないだろうか。
ただ、基本がマクロ的な話が多いので、「じゃあ私はどうするの?」と思ったときに、何か結局残っている不安がある。そこが引っかかる。 まあそう思わせるところがこの著者の筆力なのだろう。

金融の教科書  (2008-05-20)
本書では、
ほとんどの人間が納得のいく説明&教育を受けたことがない、
「中央銀行」「国債」「信用創造」のカラクリについて、
ごまかしなく、わかりやすく説明されています。
メインテーマはこれらにとどまりませんが、
金融にかかる正確な知識、
敢えて教えられていない真実を得るためだけにも、
本書は購入して読む価値があります。
「中央銀行は、そもそも国債を引き受けるために生まれた」
という説明には衝撃を受けました(笑)

日本の差し迫った危機が実感としてわかるが・・・  (2008-05-08)
経済や金融を経済学的な見地で語るのが常識になったような昨今、歴史・政治的な視野で金融を語っている。かつてはこういったタイプの本がよくあったようだが、最近では珍しいかもしれない。

まず、日本の財政がいかに危機状態にあるかを説き、次になぜ日本の財政赤字が爆発的に増えたかを中心に、国内外の歴史を追いながら、中央銀行の機能、変動相場制、財政投融資、年金制度、郵政など多岐にわたり論じている。著者はアメリカ財政を日本が支え、そのせいで経済・金融においていかに割を食っているかを力説する。最後に、環境破壊などの現在の状況を憂い、新しい価値観の必要性を説く。博覧強記だ。

著者が強調するように、たしかに日本財政は破綻の手前まで来ている。日本は歴史上、そういった危機を何度もくぐってきたが、それは結局、よく言われるように、国民にツケを回すという形(ハイパーインフレ+預金封鎖+実質的な債務不履行)であることを本書では力説する(これは事実)。

著者の貨幣論は岩井克人氏のものに似ていないだろうか。岩井氏は貨幣という存在が恐慌と必然的につながっていることを指摘したが、その抽象的な議論を具体的に言い直したような印象がする。また、そのぶん迫力が増している。本書のユニークさはここにあり、それ以外は今まで何度か語られてきたことを、著者なりの視点と言葉で言い直したものだ。ただ、それをわかりやすい1つの線にしたことは、評価してよいだろう。

現在の財政の最大の失敗はバブル期に増税(とくに消費税増税)をしなかったことにある。多くの政治家(そして国民)が過剰流動性の中、将来を楽観視し、税収の自然増で赤字が消えると勘違いした。生活レベルを下げなければならない局面に来てもそれをよしとせず、長引く不況のなか減税を繰り返してしまった。ようするに政府が国民におもねったせいである(そして、団塊の世代は幸せにリタイアし、若者は低収入にあえぐ)。本書のように一種、陰謀論めいた視点で語ると確かにわかりやすいが、事実と乖離してしまいかねない。

たとえば日本がアメリカ国債を買うことでアメリカを潤し、日本は紙切れだけを手にするといった記述があるが、途上国の現状を開発援助の金利のせいだという記述と矛盾する。「借金が貧乏の原因」なら、大量のアメリカ国債を発行しているアメリカにも同じことが言える。実際、短期国債とアメリカ国債の金利差で、日本政府は年間約4兆円を得ている(経済オンチの政治家が「埋蔵金」と呼んだ)。また、日本はここまでの海外投資で金融資産からの莫大な貿易外収入を得ている。日本だけが被害を受けているような書き方ははたして適切なのか。

江戸時代のライフスタイルへの回帰を提案するなどその処方箋はユニークだが、人間は経済法則のもとで経済活動をおこなう動物である。悲しいことだが、過去の美徳を現代に適用しても、そこに経済を動かす何かがなければ人は動かないものと考えるべきで、提案の現実性とはそういう冷酷な現実にそったものでなかればならないと思う。本書の理想を現実化できる政治家などおそらくいないだろう。

ただ、本書のユニークな金融論は一読に値する。ここで描かれる危機は一面の真理であり、本書に煽られるまでもなく日本の財政赤字はあまりに深刻である。

経済学が初めて見えた。  (2008-05-03)
表題で損をしているように思いました。経済というものの本質が初めて見えたような
気がします。

経済がどのようにして始まり、どのようにして発展し、そして今もしかしたら、
終焉に面しているかもしれないという警告が、非常にわかりやすく、説得力
を持って語られています。

一、二章は、日本に的を絞っていますが、三、四章は、世界全体を扱っていて
格調高いです。

目からうろこが落ちたような気分です。

資本主義の限界  (2008-04-28)
まず初めに言っておくと、この本は「資産をどう運用すべきか」とか「経済政策はどうあるべきか」といった内容の本ではない。もっと大くくりで長期的な命題、「資本主義の逃れようの無い限界」とでも言おうか。ともかくそういった本である。

といって、けして本書が荒唐無稽と言うわけではない。一言でいえば資本主義は必ず実体経済と乖離して膨張し、それ自体崩壊の芽を含みつつ、資源の再現の無い浪費をともなっていずれ行き詰まるというもの。現在の金融システム分析や「ドル=石油本位制」の定義は結構鋭い。

ではどうあるべきか。これは筆者はもちろん、誰にもわからないテーマかもしれない。その中の一つのモデルとして、筆者の言う“江戸モデル”はありえる話だとは思う。

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