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講談社
グループ:Book
ランキング:5525
価格:¥ 650
発売日:2005-06-15
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カスタマーレビュー ![]()
報道ジャーナリズムの恐ろしさが良くわかる
(2008-09-13)
民族紛争には、常に当事者にとっての正義は(あくまで当事者からの視点ではあるが)絶対
善として存在するが、それは対立者にとっては悪魔的に悪である。だからこそ問題の軟着陸
が難しく、問題が泥沼化してしまうことが多い。ただ、もしある一方の視点だけが報道され、
対立者の視点・主張が一切シャットダウンされてしまったとしたら----
本書ではその「もし」が現実に起こり、セルビアが国際的な「ならず者」へと転落していっ
た舞台裏を克明に描いている。こうした事例はこのユーゴ紛争だけでなく、我々の日常接して
いる報道にも頻繁に見られる(例えば小泉首相時代、対立者を抵抗勢力と決めつけた報道等)
そういった意味で新聞やTVの報道を鵜呑みにしてはいけない事を本書から学びました。
何よりも、本書を読んでボスニアに絶対的な善など無いのだと気付かされます。まだ著作数の
少ない作家ですが、今後要チェックと思いました。
プロの仕事
(2007-12-29)
NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」を思い出しました。
ルーダー・フィン社のジム=ハーフ氏らは、徹底的に、クライアントの利益のためにPR会社としてプロの仕事をしたのだと思います。24時間体制は当たり前。
その仕事ぶりが、PRの素人の失敗(セルビア政府、ユーゴスラビア連邦(当時))と比較され、見事に描かれています。
最後、クライアントとの決別がフィーを巡ってのことのようで、そのあたりも生々しい話しでした。
受け手とメディアの怠慢
(2007-12-17)
本書は90年代初頭のボスニア紛争において、
アメリカの一企業がいかに巧みに情報を操作し、
国際政治を動かしたかを回顧するものです。
映像を手がけるプロでもある著者の文章は、
臨場感や鮮やかさに満ちていて読み応えがあります。
弱小国家ボスニア・ヘルツェゴビナの外相シライジッチは、
単身で乗り込んだワシントンDCにおいて、
PR会社のやり手、ハーフと出会い契約を締結する。
そこから、同国の怒涛の情報戦略が展開され、
ついには強国ユーゴスラビア連邦を国連脱退に追い詰める。
その過程では、主要国首脳や国際世論を味方につける様々な手法が用いられる反面、
手強い相手方の失策や幸運も作用していきます。
本書を通じて率直に感じたのは、新製品やサービスならともかく、
人権や平和を扱う国際政治の分野にあって、
PR活動が真実を覆い隠したり、趨勢を左右するのは、
やはり邪道だなということです。
しかし、著者同様、それがもはや冷徹な現実であることは認めざるを得ません。
日本政府や要人の貧弱なPR活動が、
我々庶民の生活を窮地に追いやらないことを祈るのみです。
同時に浮かび上がるのは、
本書におけるようなPR企業が成果を上げてしまう主な要因は、
我々情報の受け手のメディアリテラシーの欠如、
そして情報を媒介するメディアの怠慢なのでは、ということではないでしょうか。
すなわち、メディアがPR企業のお膳立てに乗らず、
己の功名心を少し抑えて、独自取材の努力をしてみるとか、
我々が複眼的な視点で情報を吟味することが欠けているからこそ、
PR企業の暗躍を許してしまうのではないかと思えました。
衝撃でした。
(2007-09-19)
いわゆる“情報戦”
その役目をまさか、民間企業が果たしている事が有るなんて・・・。
衝撃でした。
新聞、テレビ、あらゆるメディアを見る目が変わります。
社会派ノンフィクションですが、
エンターテイメント的な読みモノとしての魅力もアリ。
倫理観を押さえて読もう
(2007-08-09)
ボスニア紛争でムスリム人(この言い方も変だけど)政府のメディア対策を一手に引き受けた広告代理店チームの行動を追ったドキュメントだ。彼らの活躍で、セルビア人=加害者、ムスリム人=被害者と言う構図が構築され、流布され、信じられ、そして、反対できないドグマへと仕立て上げられていく道筋が克明に追われている。上手なメディア戦略というものがどういうものか、目にもの見せられる思いである。わが国のあらゆる組織のトップに立つ人は必読の本だ。
ひとつすごいなあと思ったのは、広告代理店チームが詳細な取材に応じていることだ。彼らは悪びれることなく、クライアントの最大の利益を守ったと言う。そもそも、何をしたかの詳細なレポートを業界団体に提出して賞をもらっているのだ。そして、その賞によって最も有力な広告代理店の仲間入りをしている。他民族のパッチワークの中で、正義(そうブッシュの好きな正義)とは相対的なもので、大衆やメディアが指し示すに過ぎないことを彼らは深く理解している。かの国で、学校教育でディベートが重視されるのも当然だし、卑近な事象で争うと弁護士社会となる。日本人は、価値観の似通った中で暮らしているので、そのような考えには嫌悪感を覚えるが、一歩外に出れば、そう言う世界が広がっているのだ。
セルビアが悪の権化に祭り上げられた経緯は、戦前、わが国が悪の権化に祭り上げられる経緯と重なるものがある。ハルノート、リメンバーパールハーバー、国際連盟脱退、にみごとに対応するものをボスニア戦争で見つけることが出来るのは驚くばかりだ。第2次大戦は、戦力、経済力、云々の前に、メディア戦略でまず負けていたわけだ。
現在の牛肉輸入問題にしろ靖国問題にしろ、私は結論はどちらでも良いように思う。ただし、国際世論(本書を読む限りそれは実質的にはアメリカの世論)をいかに味方に付けるか、そのためにどういう手を打つかについてよほど腰を据えて考えていないと、あっという間にセルビアにされてしまうのだ。

