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朝日新聞社
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発売日:2006-11
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カスタマーレビュー ![]()
入門書としても読めるが
(2007-05-31)
伊田広行さんのネット文献でこの書が紹介され批判されていたので、どんなものだろうと興味をひかれ読んでみました。
どちらかといえば、ある程度ジェンダー論に精通した人に新たな観点を提供する書と思えます。もちろん今の時勢を正しく把握していることを前提にすれば入門書としても読めます。
性役割を説明するのに、ニクラス・ルーマンの「規範的予期」と「認知的予期」の概念を導入して説明しているのは、なかなかよいアイデアだと思いました。バックラッシュ勢力からの批判の誤謬を、新たな観点から指摘しているのもおもしろいです。
ただ全般に、ジェンダーバイアスで得をするのは概ね男性であるなど、人生経験の乏しい学者の著すものはこの程度かといううらみも残りました。伊田さんを読んだ後だったからかもしれません。
怠惰な思考を排す
(2007-03-15)
ジェンダー論について、深く啓蒙する書であるとともに、
普段、何気なくあるいは無意識に前提してしまっていて、
その矛盾に気づかずに加担してしまっている物事に対して
強く目を開かせてくれる。
そんな本当の意味で使える1冊であるとともに、世界の物事について
応用範囲の広い書物ともいえよう。
ただし、著者は「考えるプロセス」「思考すること」の重要性を
説いてやまない。悪しき実用主義を有害とさえ述べている。
「わかる」とは「分ける」ことに過ぎず、それはジェンダー論の俗流理解そのものの現状にも通じる。
そして、半可通な利用は確信犯的な悪用をも含めて、偏見の助長、無知蒙昧の蔓延、一層の環境悪化に帰結する。
安易に分けることでもって理解した(わかる)とする傲慢さは、怠惰や心の弱さにもその原因をもつ。
これこそ端的に差別そのものである。そこで起ること、それはすなわち「俗情との結託」と呼ばれるものだ。
世間の大半の書物が、書物本来のもつべき「自ら考える」ことを結果的に放棄せよと連呼しているような
なかで、本書のスタンスは希有のものだ。
上野千鶴子が推薦しているかどうかにかかわらず、本年のベストブックの1冊となろうことは疑い得ない。
なにもかも興味深い本。
(2006-11-05)
社会学者が現在、「ジェンダー」をどうとらえているのか興味深い本。
上野氏の帯書が面白くて、つい読んでしまいました。
最近よく見られるのが「ジェンダーには、実は4つの意味があるんです」という説明。
混迷を続ける日本の「ジェンダー概念」を整理するには、それしかないと私も思います。
初出がどこになるのか確認中ですが、著者もこの説明を採用しています。
しかし、「4つのどれにも社会的性の意味がある」というところで
どうしても引っかかってしまう。
社会学者の立場ならそう考えてしまうのも良く分かります。
でも、ロングマン英英辞典でgenderを引くと
male(産まない性)かfemale(産む性)かの事だと書いてある。
2007年に刊行されたロングマン英和辞典には、
文法的性と生得的性の2つの意味しか出ていません。
それに、「社会的文化的につくられた」なんて解釈、英英辞典で見たこと無い。
医学の分野で「gender difference in treatment(治療上の性による違い)」
という使い方をしますが、これは投薬上、「子宮のあるなし」等が問題になるから100%生物学的性の意味。
実際のところ英文のgenderは「(生物学的な)性」として読むと
案外、綺麗に意味が通ることがほとんどだったりする。
英英辞典に限らず、日本のジーニアス英和辞典にも「古・(生物学的)性」とある。
僕はいつも辞書や現実の用法と、社会学者の見解の差に立ち尽くしてしまう。
「ブレンダと呼ばれた少年」の書籍の話は面白かった。
この書の著者は、この出版社が偏っているならば、日本での出版を差し止めたいと言っているとか。
しかし、現時点で出版は止まっていない。
どうもインタビューで「この書の出版社が南京大虐殺の事実を否定していますが?」
といった変な形で前置きされて、この書の筆者に出版社の立場を変に誤解させたのが真相のようだ。
(「ブレンダ」の筆者は歴史の専門家ではないから、さぞビックリしたことでしょう)
・・「ジェンダー」関連の(ツールとしての)用語は、調べれば調べるほど、本当に本当に面白く、夢中になってしまう。
とにかく、手元に置いて、何度も読み返したくなる興味深い本でした。

