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岩波書店
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発売日:2005-12
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カスタマーレビュー ![]()
久間防衛相発言に思う
(2007-07-11)
日本でもやっとしっかりした核兵器研究の本が出たという感動を持った。それは、この本が戦争中の日本の原爆開発研究から説き起こして、日本の核兵器武装研究を通史として書いている点からそう思う。つまり、核兵器を軍国主義の国であれ、民主主義の国であれ、国家安全保障上、常に保有を検討しなければならない、兵器であるとの国際常識があり、著者はその視点から、日本でタブー視されてきた核保有を正面から切り込んだのだろう。もちろん、結論は「保有は不要」となるわけで、穏健な安全保障観に立っている。特に、面白いのは、日本の核保有研究を他国の例と、技術力、安全保障環境、国内政治状況などの面から、冷静に比べている点だ。これもこれまでの日本における「核は絶対悪。日本では考えることも許されない」という視点を越えた。安全保障や国際政治の研究者にとってそれほど違和感のない久間防衛相発言があれだけ叩かれる国で、画期的とも言える。核武装研究者に一人ひとりインタビューしている点は、非常に面白く読ませる本にしている。北朝鮮の核実験にいたずらにお騒ぎしている本とは明らかに違う質の高さがある。もの足りないのは、分量が足りない。もう少し、大きな本に書くテーマだろう。
北朝鮮の核実験に学ぶ
(2006-10-29)
北朝鮮がとうとう核実験をした。案の定日本の核保有論を声高に言う人がでてきて「非核の選択」が危うい時代がやってきた。日本の核武装研究本では一番詳しく、エピソードも豊富と聞かされて読んでみたが、手を抜かずに調べ足を運んで当事者に聞いて話を聞いているので、安心できる内容だった。アメリカの政策の変化で日本の核政策がぶれていくくだりが、なるほどと思わせる。ただ、日本の政治家の本音が皆今は物故者となっていることもあり、今ひとつこの本を読んだだけでは分からない。本当に核を持ちたかったのか、対米けん制で言ってみただけなのか。北朝鮮の核実験で突然、日本の核保有が話題になっているが、実は中国が核実験をした1960年代以降に日本は核を持つべきかどうか、政府がかなり研究していたことは本書が指摘するように、あらためて知っておくべきだろう。そうした研究の結論を読むと、北朝鮮が核実験をしたと言っても、まだまだ日本の道は変わらないように思える。
核の本ではベスト
(2006-06-12)
核兵器に関する日本や各国の歴史的な動きと現在のナマの国際政治の視点、さらに日本の核武装研究についての網羅的な調査が組み合わさった本で、日本で出版された核兵器に関する本ではベストだと思う。精密で時間をかけたリサーチがうかがわれる。読みやすい文体でフムフムと頷きながら、頁をめくった。日本では珍しい質の高い核兵器研究だろう。それにしても、核を持っていないと、国際政治のゲームに参加できない事情がよく分かった。日本はそれでも核を持たない選択をした。これは大変な覚悟だ。
タブーを破った
(2006-05-05)
日本の核武装と言えば、核肯定派も反核派も、観念論、感情論でこれまで熱を上げてきたというのが、安全保障論を研究する者たちの感想です。
筆者は数々の日本の核武装研究を一つずつ取材し、ナマの声で事実を明らかにしている。初めてタブーを破り、一頁ごとに読み応えのある内容となっている。クールに核武装研究グループのうごめきを伝える筆致がジャーナリストらしい。論文の参考にもなりました。
読んでいて、時代時代の風景が浮かび上がってくる不思議な本だ。
日本の核武装研究者への軟らかなまなざし、世界各国の核武装の丹念なフォローを読むと、この筆者は本当は核武装論者ではないか、とのかすかな疑念もわいてくる。
核武装研究の体験談が面白かった
(2006-04-23)
日本の核武装研究を戦前のニ号研究から説きおこし、戦後の自衛隊、防衛庁、内調、外務省、民間団体の研究までここまで全体的にまとめた本はほかに知らない。研究に携わった当事者の体験談が次から次に出てきて迫力がある。ファクトを集めたドキュメントタッチの展開は、共同通信ワシントン支局長が書いただけあって読ませる。日本の核武装を促したのも、封じたのもアメリカだということが分かった。アメリカの手のひらで遊ばれる日本が描かれている。後半に書いてある世界各国の核武装の動きも初めて知る話が多かった。マンハッタン計画は詳しく読んだことがあったが、この本にはイギリスやフランス、中国、インド、イスラエルがどうやって核を手に入れたかが書いてあると、日本だってと思うのは自然だろう。ドイツやスイス、スエーデン、ユーゴスラビアまで核武装を本気で目指したとはショックでもある。こうしたことはほかの本には出ていない。核武装をすべきだ、駄目だ、といった論を展開する前にまず読むべき本だろう。ただ、あれこれ書きながら、核はいらないという結論になっているところが、大メディアで生きるジャーナリストの思考の限界でしょうか。

